研究課題/領域番号 |
18K18254
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
浅田 晴久 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (20713051)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | インド / アッサム州 / Covid-19 / 遠隔会議システム / レジリエンス |
研究実績の概要 |
3年目にあたる令和2年度は、世界的に蔓延した新型コロナウイルス感染症の影響により研究対象地域を訪問することができず、研究計画の大幅な修正を余儀なくされた。新型コロナウイルス感染症を予防するために、各国でステイホームが唱えられる中、遠隔会議システムを利用したオンライン会議が急速に広まり、地域研究の新たな可能性が示された1年でもあった。 当初計画では年度内に2回、インド・アッサム州に渡航予定であったが、渡航不可能になったため、オンライン会議に参加してコロナ禍の現地の状況を探ることにした。インドで開催されたオンライン会議に計5回参加したが、参加者はいずれも現地の大学教員や大学院生であり、日本と同様にインドの大学でも手探りでオンライン授業、オンラインを活用した研究活動が継続されていることが分かった。一方で、1人1台PCを所有していない、PCを所有していてもネットワーク接続の問題があるなど、途上国ならではの課題があることも報告された。また、都市部に比べて、村落部では新型コロナウイルス感染症の影響が相対的に少ないことも報告された。 そこで、新型コロナウイルスを2020年に出現した新たなグローバル問題と捉えて、インド・アッサム州の村落がこの問題に対してどれほどのレジリエンスを有しているかを調べるために、現地カウンターパートに依頼して、調査村においてアンケート調査を実施することにした。事前の調整に時間がかかったが、2021年1月までに、計212名より回答を得た。今後分析を進めることで、どのような世帯・個人で影響が見られるか、もしくは見られないか、明らかにする予定である。 現地調査を行うことができなかった分、時間に余裕が生まれたため、前年度までに取得したデータをまとめて、日本語論文2本、英語論文3本の原稿を執筆することができた。一部は年度内に出版されたが、今後順次、出版される見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で海外出張が不可能になり、現地で調査・打ち合わせを行うとしていた当初の計画を大幅に変更せざるを得なかった。年度の初めは、緊急事態宣言やオンライン授業への移行など、国内でも目まぐるしい状況の変化があり、研究活動に時間を割くことが困難であったが、徐々にオンラインを活用した研究・教育活動に慣れてきたこともあり、年度半ばからは、現地のカウンターパートとオンラインでやり取りを進めて、なんとか研究活動を継続することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は研究費をほとんど消化する機会がなかったので、科研費を1年延長することにしたが、インドの新型コロナウイルス感染症の状況を見る限り、おそらく次年度も現地を訪問することは不可能であろう。調査村で実施したアンケート調査の分析を進めるとともに、オンライン会議システムを活用して、画面越しに村人と対話して、コロナ禍における現地の状況をできる限り把握したい。これまでは、代表者が定期的に対象地域を訪問して必要なデータを住民から取得していたが、新型コロナウイルスの出現により、調査者と被調査者の関係性も変わってくることが予想される。ポストコロナの時代を見据えて、新たな地域研究の方法論を模索していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で、当初の研究計画を変更することになったため。
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