研究課題/領域番号 |
18K18255
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
泉 直亮 目白大学, 社会学部, 専任講師 (60749802)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 生存基盤 / 生業変容 / 牧畜社会 / 農牧社会 / 富の蓄積 / 家族の再生産 / 土地の稀少化 |
研究実績の概要 |
東アフリカ農村では伝統的に平等的な規範にもとづいて格差を是正し、経済的成長よりも生存維持を重視する社会が形成されてきた。しかし近年、新自由主義的思想にもとづいたグローバル市場の影響が、アフリカ諸国にも影響を与えている。それにともない、農村地域も急激に変容しており、経済格差の拡大が懸念されている。それにも関わらず当該地域を対象とした研究は、依然として地域住民を一様に「小農」とみなすか、あるいは小農のみを研究対象としてきた点で問題がある。本研究者は、東アフリカ農村におけるこれまでの調査から、近年になって企業家的な大規模生産をおこなう「豪農」の出現を明らかにしている。 本研究ではこのような研究を発展させ、経済的に裕福な富農に注目して東アフリカ農村社会をとらえなおし、経済格差の視点を組み込んで当該地域の生存基盤を再考する。2022年度は新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、予定していた現地調査を実施できなかった。そこで、これまでの現地調査で収集した資料に加えて、関連する文献資料の整理・分析を深めてきた。 具体的には、東アフリカ農村社会における富の蓄積と家族の再生産ついて生態人類学的な視点から検討した。東アフリカ農村は、ヨーロッパや東南アジアなどの他地域と比べると「農」よりも「牧」の重要性が高い社会であり、家畜は家族の再生産とも関係する。本論では、家畜をおもな財としてきた社会の特質を示し、財と家族との関係を再考する。また、近年ではこの地域でも土地が稀少化して財としての重要性を高めているという現代的な変容を含めて議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大にともない、2022年度に予定していた現地調査を実施できなかった。これまでの現地調査から得られた資料の再解釈や文献資料等の情報を補足して対応したが、当初の計画よりもやや遅れていることは否めない。そのため、2023年度まで期間を延長して研究課題の完成をめざす。
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今後の研究の推進方策 |
研究の遅れの要因が現地調査を実施できなかったことになるので、1年延長した2023年度は可能な限り現地調査を実施して必要な資料を得ていく。また、これまでの調査から得られた資料の再解釈や文献資料等の情報を補足しつつ対応していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大にともない、2022年度に予定していた現地調査を実施できず、次年度使用額が生じた。1年延長した2023年度は、現地調査や関連資料の購入、研究成果出版などで使用するよう計画している。
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