研究課題/領域番号 |
18K18258
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
鈴木 佑記 国士舘大学, 政経学部, 講師 (60732782)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 南海産品 / 漁民 / モーケン / タイ / ミャンマー |
研究実績の概要 |
本研究は南海産品と呼ばれる、中国と世界の華人市場を最終目的地とする海産物に焦点をあて、それを採捕して生活するタイとミャンマーに暮らす漁民を取り上げる。特に、モーケンと呼ばれる、申請者が2003年より調査研究を続けている漁民である少数民族が主な研究対象となる。彼らが国家と国際機関による管理のもと、地先漁民(タイ人・ミャンマー人漁民)との競合関係のなかで、どのように南海産品を生産(採捕・加工・保存)し、販売しているのかを明らかにすることを目的としている。また、流通先における南海産品の販売状況を把握することも目指している。
2018年度は、日本において南海産品に関する書籍、東南アジアの漁民に関する資料の渉猟を行った。その他、本研究課題に関する出版物の刊行(分担執筆)や各地で発表することができた。海外においては、タイ、マレーシア(ペナン)、シンガポールで調査を実施した。いずれの場所にも華人市場が存在し、南海産品が販売されているためである。今年度の調査で最も成果があったのは、タイ国ラノーン県における調査である。仏教徒のモーケンが集住するラオ島では、2010年からキリスト教団体が布教に訪れており、キリスト教徒になった者たちが別の島に村落を形成するようになった背景を知るとともに、それに伴って南海産品の生産空間が広がっている実態を把握することができた。また、ラオ島の他にパヤーム島のモーケン村落にも訪問し、そこで2005年より調査を続けているスリン諸島のモーケンと邂逅した。両島には親族関係にあるモーケンが暮らしていることから、パヤーム島とスリン諸島の間を移動しながら、アンダマン海域の広範囲で南海産品を確保しているモーケンがいることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事前に計画していた国内での研究会、および海外でのフィールドワーク、いずれの研究活動についても予定通り実施することができた。 いまだに、ミャンマーにおける調査を実施できていないが、本年度は日本とタイにおける調査を重点的に実施することを計画していたため、おおむね順調に進展しているといえるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、2018年度に続きタイにおける調査を重点的に実施する予定である。特に、ラノーン・コミュニティ・カレッジのモーケン研究者との研究上の協力関係を深めながら、モーケンによる南海産品生産の実態について探ることを課題とする。残りの年度に関しては、ミャンマーおよび南海産品市場を持つ各国におけるフィールドワークを実施し、包括的な南海産品の管理・生産・販売の状況を把握することを目指す。
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