研究課題/領域番号 |
18K18262
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
杉山 隆一 早稲田大学, イスラーム地域研究機構, 次席研究員(研究院講師) (70788570)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | イラン / 聖地・聖廟 / シーア派 / マシュハド / ゴム / 宗教寄進 |
研究実績の概要 |
初年度となる2018年度は2度に渡って現地イランにおける史料・実地調査(マシュハド、ゴム、テヘラン)を行った。マシュハドでは研究対象のひとつとなるシーア派第8代イマーム、レザーの廟に附設された研究機関、図書館を訪問し、必要な文書・写本・石版本史料の閲覧、複写の入手を行うと共に、同廟の現在の運営状況を把握すべく、博物館群等その他の附設施設の訪問調査や運営スタッフへの聞き取り調査を試みた。また、マシュハドの書店・古書店をめぐり、イラン国外ではあまり知られていないであろう近現代関連の地方史研究や史料集も併せて入手した。ゴムでは、もう一つの研究対象となるジャムキャラーン・モスクに関連する史資料の収集を中心に行った。特に、ゴム市内で史料の蒐集・公開を行っている研究機関を複数訪問し、史資料の入手や地方史の研究状況について貴重な情報を得ることができた。また、実際に同モスクを訪問し、モスクの現状に関する情報の収集も進めた。テヘランでは、近代以降のイマームザーデの変化を調べるのに資するであろう近代以降の新聞資料のCD-ROM版の入手、ならびに議会図書館所蔵の文書史料調査等、主に史資料の収集にあたった。 加えて、本研究課題採用以前ならびに今回の現地調査で入手した史資料の読解にも本格的に着手した。以前から研究を続けているレザー廟に関しては、近刊の研究書や入手した文書史料の読解を進めた。特に19世紀末以降、近代化の波の中で同廟の運営や都市マシュハドに生じた変化につき検討を行うためのデータを集めた。またジャムキャラ―ン・モスクについては、現地研究機関が出版する歴史書や、同モスクに関連する伝承集など参照し、奇蹟譚等聖地の形成に不可欠な伝承といった情報の整理を行った。加えて、議会議事録の整理も併せて進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
入手した史資料に基づき、情報の整理を行って今後の成果発信のための準備を進めている段階にある。但し、必要と思われる史資料・情報の一部については、2度の調査で入手には至らなかったものもある。また、情報の整理を進めていく中で、特に宗教寄進関連のデータや、聖地・聖廟の管理に関する情報など、さらなる史資料の収集と分析が必要と思われる箇所も出てきた。2年目以降に予定している成果の公表においては、こうした史資料の入手に関する欠をある程度補う必要があろう。
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今後の研究の推進方策 |
成果の公開に向けて、引き続き入手した史資料の読解とデータの整理を進めていくと共に、さらなる史資料・情報の取得作業を行う予定である。後者については、昨年度参加した国際ワークショップで関係を強化した現地研究者の協力を仰ぐことが可能になったため、特に史資料の入手は今まで以上に容易になるものと思われる。再度の現地調査を実施する予定だが、フィールド調査によるデータ取得にこれまで以上に力を入れてみることを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
パソコン関連のソフトウェアの購入を見送り、また国外調査にかかった費用が思った以上に安価だったため、余剰が生じている。余剰分については、史料書籍購入費に充当する他、本科研のテーマにも関係してくる別な研究プロジェクトが計画している国外学会への参加と報告のための費用に充当する予定である。
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