研究課題/領域番号 |
18K18268
|
研究機関 | 岐阜市立女子短期大学 |
研究代表者 |
荒木 隆人 岐阜市立女子短期大学, その他部局等, 講師 (50733127)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 多文化主義 / 間文化主義 / 移民政策 / 社会統合 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はケベック州における新しい社会統合政策である間文化主義の理念と実践を明らかにすることである。本研究は二つの柱からなる。一つは間文化主義の理念のケベック州における思想的原点の一つとされる前ケベック州首相のルネ・レヴェックの思想を明らかにした上で、最近のケベック州の間文化主義の展開を明らかにすることである。もう一つはヨーロッパ諸国(フランス、ベルギー、ドイツ、オーストリア、チェコ、ポーランド)における社会統合政策について調査し、ケベック州の間文化主義政策との比較検討を行うことである。なお、研究当初の計画では、オランダ、イタリア、アメリカ合衆国も調査対象の国に含んでいたが、これらの国の社会統合に関わる文献の収集と精読に要する時間を考慮し、これらの国の調査については次の研究機会に行うこととした。 本年度は本研究の第一の柱を中心に行った。すなわち、ケベック州の間文化主義や社会統合についての1次資料の収集・精読、2次資料の収集・精読、および学会における論文発表を行った。詳細については以下の通りである。 1.1次資料の収集・精読:ケベック州における社会統合や移民政策に関わる法律についての州議会の議事録(1次資料)の収集と精読を行った。 2.2次資料の収集・精読:ルネ・レヴェックについての資料、ケベック及びヨーロッパ諸国の移民政策や社会統合に関連する文献を収集・精読し、1次資料の分析に活用できる知見を得た。 3.論文発表:日本ケベック学会誌『ケベック研究』誌上に、「静かな革命とルネ・レヴェック」と題する論文を発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、ケベック州の間文化主義の思想的原点であるルネ・レヴェックの思想について検討した上で、ケベック州議会の議事録から現在のケベック州の間文化主義の展開を検討する予定であったが、ケベック州議会の議事録の読解と整理に予想以上の時間を要したため。また、本研究の第二の柱であるヨーロッパ諸国(フランス、ベルギー、ドイツ、オーストリア、チェコ、ポーランド)における社会統合政策とケベック州の間文化主義政策との比較検討が来年度に残されているため。
|
今後の研究の推進方策 |
令和元年度は、8月中旬から9月中旬にかけて調査対象であるヨーロッパ諸国(フランス、ベルギー、ドイツ、オーストリア、チェコ、ポーランド)に赴き、これらのヨーロッパ諸国の社会統合についての資料を収集し、ケベック州の間文化主義との比較検討を進める。また、学会または研究会での報告に向けた準備を進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画の通り、最終年度である令和元年度にヨーロッパ諸国における社会統合政策を調査するため、初年度よりも多くの研究費を最終年度に振り当てるために初年度の未使用額が生じた。このため、最終年度は上記のヨーロッパ諸国における社会統合とケベック州の間文化主義の比較検討のための調査の経費に未使用額を充てることとしたい。
|