研究課題/領域番号 |
18K18271
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
戸田 美佳子 上智大学, 総合グローバル学部, 准教授 (20722466)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 障害者 / 宗教(キリスト教) / カメルーン / 狩猟採集民 / アフリカ |
研究実績の概要 |
アフリカに暮らす障害者の生活様式は、彼らが暮らす生態環境に加えて、イスラームとキリスト教が広がってきた歴史的プロセスを通じて変化している。そこで本研究は、キリスト教圏であるアフリカ中部熱帯雨林とイスラーム圏であるアフリカ中部・西部サバンナ地域において、障害者のライフコースをとおした宗教史・地域史を再編するとともに、障害者の宗教ネットワークの解明をすることを目的とする。 コロナウィルス感染症対策による海外渡航自粛のために実施できなかった2020年度および2021年度の現地調査を、2022年度に3年ぶりに実施した。2023年3月にカメルーン共和国に渡航し、首都ヤウンデおよび東部州のハンセン氏病コロニー村で、ハンセン氏病対策に関する国家とキリスト教ミッショナリーの取り組みに関する聞き取りおよび資料収集と、ハンセン氏病後遺障害者およびその家族に対するライフヒストリーの聞き取り、加えて一般市民による世代間のハンセン氏病の認識の変化を理解するために20代から70代まで首都ヤウンデの居住者にインタビューを実施した。とくに、カメルーン東部州のハンセン氏病コロニーではフランス人宣教師をはじめとするキリスト教ミッショナリーがハンセン氏病者に対する支援を積極的に取り組んできたことで知られている。その取り組みは狩猟採集民バカに対する慈善活動へと広がり、遠方よりハンセン氏病に罹患した狩猟採集民バカと農耕民が連れて来られた結果、地域社会とは異なったバカと農耕民が婚姻関係を結ぶ「混血村」を形成してきた。来年度は本年度の調査結果をまとめ、元ハンセン氏病者のライフコースをとおしたカメルーン東部州における宗教史・地域史を再編することを目指していく。 加えて、今年度は『文化人類学』にカメルーン女性障害者における障害とジェンダーに関する論文を投稿し、研究成果の情報公開に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウィルス感染症対策による海外渡航自粛のために実施できなかった2020年度および2021年度の現地調査を、2022年度に3年ぶりに実施することができ研究は進展したが、来年度もまた補完的な調査は必要であるため、当初計画より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度まで補助事業期間を延長したことにより、現地調査を2023年8月に実施し、最終成果報告としてまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス感染症対策による海外渡航自粛のために実施できなかった現地調査を2023年8月に遂行するために、補助事業期間の延長を申請した。
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