研究課題
アフリカに暮らす障害者の生活様式は、彼ら彼女らが暮らす生態環境に加えて、イスラームとキリスト教が広がってきた歴史的プロセスを通じて変化している。本研究の目的は、キリスト教圏であるアフリカ中部熱帯林地域とイスラーム圏であるアフリカ中西部サバンナ地域において、障害者のライフコースをとおした宗教史・地域史を再編するとともに、障害者の宗教ネットワークの解明をすることである。研究の成果は『文化人類学』をはじめとする学術雑誌および英語図書やフランス語図書において公開した。現地調査においては、2020年のコロナウィルス感染症対策による海外渡航自粛のために、当初計画したイスラーム圏での現地調査は困難となった。2023年度より本格的な調査を開始し、カメルーン共和国首都ヤウンデおよび東部州のハンセン氏病コロニー村においてフィールドワークを実施し、ハンセン氏病対策に関する国家とキリスト教ミッショナリーの取り組みに関する歴史資料を収集し、ハンセン氏病後遺障害者およびその家族に対して聞き取り調査をおこなうことができた。フランス人宣教師をはじめとした慈善活動がハンセン氏病に罹患した狩猟採集民バカに対する支援に尽力した結果、地域社会とは異なったバカと農耕民が婚姻関係を結ぶ「混血村」を形成するとともに、バカに対する教育の拡充、現在の先住民運動への架け橋となっていることが明らかになった。こうした元ハンセン氏病者のライフコースをとおしたカメルーン東部州における宗教史・地域史に関する論文の投稿を予定している。
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件) 備考 (2件)
Trees, Forests and People
巻: 15 ページ: 100472~100472
10.1016/j.tfp.2023.100472
https://researchmap.jp/7000023344/
http://dept.sophia.ac.jp/fgs/staff/toda-mikako