アフリカ諸社会において、「障害」に関する言説は文化の差異や歴史的プロセスによって変化しており、弱者と慈善に関する言説はイスラーム教とキリスト教が広がるにつれて地場を獲得してきた。他方で、障害者の生存のために「貧者の救済」が必要であると説いてきたことによって、医師による専門化した医療行為やミッショナリーによる慈善的施設ケアが無批判に受け入れられる結果を招いてきた可能性もある。そこで障害当事者の視点からライフコース研究をとおして明らかにすることが本研究の特徴である。とくに本研究では「過去の病」となりつつあるハンセン氏病経験者から宗教史・地域史を記録しており、社会的に意義があると考える。
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