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2018 年度 実施状況報告書

観光協会のDMO化に関する組織論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K18273
研究機関北海道大学

研究代表者

石黒 侑介  北海道大学, 観光学高等研究センター, 准教授 (00743238)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード観光協会 / DMO / 経営戦略
研究実績の概要

今年度の問いは「観光協会は組織論上、どのような特徴を有する組織であるか」というものである。この問いに対する答えを得るために、北海道内の各観光協会のリーダーの有無、リーダーによる経営戦略の規定要因、組織構造や組織文化が組織のメンバーの認知や行動にどの程度影響を及ぼすか等を明らかにするための調査をおこなった。
まず、予備調査では道内4カ所の観光協会に対するヒアリングを行い、観光協会の現状や課題についての全体像を把握した。その結果、組織の実質的な事業を取り仕切る事務局長職の有無や同職にある人物の個人的な背景と考え方、行政との距離感、会員構成などが観光協会の経営戦略、組織内の意思決定プロセスや組織文化、組織構造に影響を与えていることが明らかになった。次に、前述の予備調査の結果に基づいて作成された調査票に基づき、2018年7月上旬より本調査を開始した。本調査は、まず、申請者が座長を務める研究会に参加する11の観光協会から開始し、それらの観光協会を通じて約30の観光協会から回答を回収した。さらに、オホーツク管内、留萌管内、上川管内、空知管内へは直接訪問による調査を行い、計64の観光協会から回答票を回収した。これらの回答に基づき暫定的な分析を行ったところ、任意団体が7割弱を占め、また常勤の役員がいる観光協会がほとんど存在しないことなどが明らかになった。以上のことから、国が進める日本版DMOの母体として観光協会を見込む上では、そもそも観光協会の組織的な強化が必要となることが強く示唆された。こうした研究成果を社会還元することを目的に2018年10月には「観光協会向け経営セミナー~これからの観光協会経営を考える~」を開催した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2018年度中に完了を予定していた道内の観光協会への悉皆調査については、上半期こそ順調に進捗していたが、2018年9月に発生した胆振東部地震の影響で胆振、日高圏内を中心に各観光協会への調査が困難となったため、2018年内は調査を一端中止し、先進事例であるスペインおよびドミニカ共和国の事前情報収集と資料分析を先に進めた。そのため一部の作業工程に遅れが生じている。一方で、学内の研究助成を別途獲得できたため、2019年度に予定していた国外事例の予備調査を2018年度中に終えることができた。以上を踏まえると、全体の進捗度ではほぼ計画どおりと判断している。

今後の研究の推進方策

2019年度については、統一地方選挙の影響が見込まれるため、選挙前の4月および選挙後の種々の影響が沈静化する5月下旬以降に道内の観光協会への調査票を用いた悉皆調査を進め、7月上旬までに完了させる。その上で、8月までに前述の調査結果に基づく北海道内の観光協会の現状把握を進め、9月にスペインおよび中南米への事例調査を行う。なお、中南米の事例調査については当初予定していたドミニカ共和国ではなく、エクアドル(キト)、ペルー(アレキパ)、チリ(イースター島)の事例へと変更する可能性を伸張に検討する。これは2018年度中に行った国外事例研究の結果、ドミニカ共和国のDMO形成が当初想定していたよりも進んでいない可能性が浮上したためである。

なお、道内の観光協会への研究成果のフィードバックについては、北海道の観光シーズンが落ち着く2019年度下半期を予定している。

次年度使用額が生じた理由

胆振東部地震の発生を受け、約3ヶ月道内観光協会へのヒアリング調査等を休止していたため一部の旅費を次年度へとまわし、次年度も継続して道内観光協会への調査を行う。その他、次年度には国外事例調査(スペインと中南米地域)を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 『DMO全盛期』に改めて考える観光協会の意義と経営戦略2018

    • 著者名/発表者名
      石黒侑介
    • 学会等名
      観光協会向け経営セミナー~これからの観光協会経営を考える~

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公開日: 2019-12-27  

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