本研究は、周辺地域における観光地域の存立基盤を解明し、日本と太平洋沿岸に広がる海岸観光地を分類・体系化するとともに、海岸観光地の課題を検討し、その適正利用メカニズムについて検討することを目的としている。島嶼地域にみられるような周辺地域の新興海岸観光地は、急激な観光地開発や観光産業に依存した政策・開発により、既存のコミュニティの破壊や経済リスクの上昇などの問題が生じやすい特徴がある。本研究の最終年度である令和5年度は、これまで調査してきた沖縄県宮古島における継続的な現地調査によるデータ収集を実施するとともに、書籍の執筆を行った。まず、宮古島においては、令和元年度から継続して調査している宿泊施設および飲食店の進出状況についてのデータ化と、関連する行政機関への聞き取り調査を実施した。さらに、実施した調査結果をまとめ、島内の観光関連施設の進出状況についての分析を進めた。以上の調査・分析結果をもとに、宮古島における観光関連施設の集積・進出状況についてデータの可視化および地図化を進め、宮古島における観光の関連施設の空間構造の特徴を検討した。さらに、宮古島とオーストラリア・ケアンズにおける土地利用の違いから観光地域の構造の違いを地誌学的に考察し、書籍化に向けて原稿を執筆し、現在編集中である。世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響により研究期間が大幅に長期化しているが、研究期間終了後も研究対象地域における経年変化の調査を継続していく予定である。
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