研究実績の概要 |
本研究課題は、テロワール産品を通じた地域農業と農村の振興について、日本とフランスを比較することで、持続的発展に資する理論モデルを構築することを目的としている。 2021年度は、国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))によるフランスでの研究調査を行えたことで、本研究課題の海外調査に関わる部分を進めることが可能となった。 フランスのアルデシュ県は、文化政策の中に郷土の食文化を明確に位置づけており、本研究課題の解明のために重要な事例を与えてくれる。 調査は、アルデシュ栗(AOP)異業種組合やアルデシュ山自然公園など、活動の中核を担う行政組織の全面的な協力をいただけたことで、各部門のキーパーソンへのヒアリング調査を進めることができた。フランスにおいても日本においても、生産者の事業継承が喫緊の課題となっている。フランスでは、引退する農業経営者と新規参入者との間でのマッチングに、農業会議所や自然公園の普及員が深く関与している。また栗園の整備に手厚い支援がなされていることが明らかとなった。 アルデシュ県においては、栗の食文化を核とした景観保全と農村地域振興施策は、地域の公共部門と民間部門とのパートナーシップに基づいており、行政,各種職能団体,ツーリズム関連団体との連携によって地域的な準レントの創出を可能とさていた。 食文化は,地域の価値共創、持続的地域振興のための社会経済的資源として重要な役割を演じていることを明らかにした。これらを査読付き論文として投稿した。またフランスでは、日本の栗の産地における地域振興について報告を行う機会をいただき、共同研究者、関連する研究者から日仏比較研究として論文を執筆するための有意義なアドバスが得れらた。
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