研究課題/領域番号 |
18K18286
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
楽 奕平 東洋大学, 情報連携学部, 助教 (20573116)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 立ち寄り行動 / 渋滞回避 / 情報提供 / 行動誘発 |
研究実績の概要 |
本研究は、近年急速に重要さを増している観光分野における交通と観光の情報提供を題材として、「追加的な訪問先の提案と交通渋滞予測情報がリアルタイムで提示された場合に、旅行者がどのような選択行動を取るか」に着目して、「情報提供―行動誘発」モデルを構築し、情報提供の行動誘発効果を明らかにすることを目的とする。初年度の研究実績は下記の通りである。 ① 本年度は渋滞情報の提供による行動誘発の実態調査を中心に研究を行った。具体的には、首都圏在住の旅行者が観光地から帰宅する場合の渋滞回避行動を例にとり、携帯電話ナビゲーションから取得した経路検索データとGPS走行軌跡データを用いて、帰宅途中の追加的な立ち寄り行動を特定し、渋滞の状況(渋滞長さ)や時間帯によってどのような立ち寄り行動の傾向があるのかを明らかにした。全体傾向として、渋滞長さが長いほど立ち寄り率が高くなるが、時間断面で見た場合、時間帯によっては渋滞長と立ち寄り率の関係は直線的ではない可能性が示唆される。 ② 「情報提供-行動誘発モデル」の構築に関する文献レビューを行うとともに、上記の実態分析を基に追加的な観光行動(立ち寄り)に影響する変数となりうる情報を整理した。 ③ 「情報提供システム」の開発に関して、研究協力を得たナビタイムジャパン社と渋滞予測と経路検索APIの利用について具体的な検討が進んでおり、現在同社が提供するテスト環境でシステムの構築を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究計画通りに研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
下記の通り今後の研究を推進する予定である。 ① 「情報提供-行動誘発モデル」について、追加的な立ち寄り行動の有無を説明する変数として、観光地の魅力(観光資源の多寡)、立ち寄りしやすさ(施設、レストランなどの営業時間)などの要素を追加して、追加的な立ち寄り行動の影響要因を定量的に分析する。 ② 渋滞予測情報と周辺観光施設の情報を同時提供するアプリを開発して、社会実験を行う。取得データとしては、走行軌跡データで行動誘発の効果としての出発時間と交通経路(寄り道)、立ち寄り行動を把握するとともに、アクティブ・ダイアリー手法により協力者の属性・行動情報(利用者の属性、移動目的、購買、食事、観光・レジャー活動などの消費行為の情報等)を補足的に把握する。 ③ 社会実験の結果を踏まえて、「情報提供-行動誘発モデル」のパラメータの推定及び検証を行う。また、利用者の行動モデルを踏まえ、本格的にシステム導入した場合の社会経済的な効果について便益評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は、情報提供システムの構築、ナビタイムジャパン社の経路検索APIを利用する必要があるため、APIの利用費用を要する。 社会実験を行うため、実験協力者に対するインセンティブとして、謝金が必要となる。また、実験の実施においては事前の現地調査や関係者との調整が必要であり、交通費が必要となる。 最終的な成果の発表・還元にあたっては学会参加が想定され、そのための旅費が必要となる。
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