• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

「労働力の女性化」再考―バングラデシュとインドにおける縫製女性労働者の事例から

研究課題

研究課題/領域番号 18K18290
研究機関茨城大学

研究代表者

長田 華子  茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (20632285)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2025-03-31
キーワード労働力の女性化 / バングラデシュ / インド / 縫製産業 / フェミニスト経済学
研究実績の概要

本研究の目的は、バングラデシュとインドの縫製(工場および家内)労働者を事例として、「労働力の女性化」概念の再定義、再構築を試みるものである。
今年度は、主に、成果の公表に努めた。具体的には、第1に『ジェンダー事典』(丸善出版社,2024年)の「労働力の女性化」の項目を執筆し、校正作業に従事した点である。「労働力の女性化」は、本研究の研究課題名に掲げている用語であり、研究の軸となる用語である。これまでの研究成果と最新の研究動向をサーベイしながら、執筆、校正作業を行った。
第2に、編者となって取り組んできた、『フェミニスト経済学―経済社会をジェンダーでとらえる』(有斐閣、2023年)を刊行した点である。特に、単著の11章「資本・労働力移動」、12章「貿易自由化」は、本研究課題の研究成果を含む研究をベースに執筆したものである。11章では、本研究課題に該当する、バングラデシュ、インドの縫製産業の事例に加えて、特に2000年代以降のグローバル・バリューチェーンの加速度的な進展に伴い、製造業のみならずサービス業でも、インドやフィリピンなどで「労働力の女性化」の現象が見られること、その一方で、東アジアや東南アジアの一部の国では、90年代以降の製造業で、女性労働力の需要が下がる「労働力の脱女性化」の現象が見られており、それらの研究動向をサーベイしながら執筆した。また12章では、農業分野における「労働力の女性化」に関連する研究動向をサーベイし、執筆した。上記のような研究を行うことを通じて、「労働力の女性化」現象の各地域、各産業分野における特徴や特殊性を概観することが可能になった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の影響に加えて、産休・育休復帰から2年目ということもあり、海外渡航ができなかったことが理由である。その一方で、国内の自身の研究拠点(茨城県水戸市)で、研究成果の公表に努めるという課題は達成した。海外でのフィールドワークは上記の理由から叶わなず、それをもって、(3)やや遅れているを選択したが、これまで調査してきたデータや情報をもとに、研究を着実に遂行しており、問題はないと認識している。

今後の研究の推進方策

今年度は、本研究課題の最終年度にあたる。現在までの進捗状況で明記した通り、産休・育休から復帰して数年であり、研究対象地域の特性上(西ベンガル州コルカタから、車で片道2時間を要するなど)、今年度もインドでのフィールドワークを実施できる見込みはない。そのため、これまで行ってきた調査データを改めて検討するとともに、先行研究の講読を進めながら、研究課題の「労働力の女性化」の再考を試みる。これまでは、インドやバングラデシュの縫製産業や繊維産業に関連する先行研究を講読してきたが、当該地域のジェンダー規範や文化、社会的背景に関する先行研究を含めて調査し、バングラデシュとインドの縫製労働者の実態に即しながら、「労働力の女性化」概念の再定義、再構築を試みる。

次年度使用額が生じた理由

現在までの進捗状況で記した通り、新型コロナウイルス感染症の影響に加えて、産休・育休から復帰して2年目という事情が重なり、海外調査を行うことができなかったことが理由である。今年度も海外調査を計画しておらず、国内の研究拠点(茨城県水戸市)にて、文献の講読を進め、最終年度の研究を遂行する計画である。文献は、オンラインジャーナルや図書館の複写サービスを利用して入手しているが、いずれも費用がかかるため、今年度は購読費用にあてる計画である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件)

  • [学会発表] 『フェミニスト経済学―経済社会をジェンダーでとらえる』(有斐閣)―編者が語る、フェミニスト経済学の可能性2024

    • 著者名/発表者名
      長田 華子
    • 学会等名
      日本比較経営学会・管理理論研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] ファッションから考える私たちの生活と世界のつながり2023

    • 著者名/発表者名
      長田 華子
    • 学会等名
      東京女子大学学会 国際関係部会講演会
    • 招待講演
  • [図書] ジェンダー事典2024

    • 著者名/発表者名
      ジェンダー事典編集委員会・松本悠子
    • 総ページ数
      800
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      9784621308875
  • [図書] フェミニスト経済学2023

    • 著者名/発表者名
      長田 華子、金井 郁、古沢 希代子
    • 総ページ数
      312
    • 出版者
      有斐閣
    • ISBN
      9784641166202

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi