2020年2月に実施した現地調査(チュニジア)において、首都チュニスおよびチュニジア北部のビゼルト県のそれぞれの「子ども保護代理事務所」および家族裁判官へのインタビューを行った。首都チュニスにおいては、実際の裁判の傍聴する機会も得た。さらに追加の文献収集も行った。これらにもとづき、10月に「チュニジアの女性裁判官と『子の利益』」(NIHU現代中東地域研究上智拠点研究会 )を報告した。今年度に予定していた追加の現地調査は、新型コロナウイルス感染症蔓延のため中止せざるをえなかったが、現地とのオンラインでの調査で補った。3年間の研究成果として、ワーキングペーパー(「『子の利益(マスラハ)』とは何か―イスラーム法と現代チュニジア法―」(『中東イスラーム圏における社会的弱者の権利を考える』SIAS Working Pater Series 33)を刊行した。同論文は、他の国/地域との比較検討を含む共同研究の着手となり、今後の研究の拡がりにつながるものである。
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