研究課題/領域番号 |
18K18312
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
今泉 博子 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (20746656)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 植物工場 / 被災地復興 / 子ども / 地域振興 |
研究実績の概要 |
2018年度は、対象地である宮城県名取市閖上地区への継続的な調査を行った。同地区で活動するNPO法人名取ハマボウフウの会と協働し、地域のシンボルである要保護海浜植物・ハマボウフウをテーマに、植物工場を用いて子どもと連携する方法を探った。その結果、地域の復興の鍵を握る閖上小中一貫校にて、中学2年生の技術の時間を利用し、子どもたちが自分の手で植物工場を組み立てる授業を行うことができた。ここで制作した植物工場は、次年度浜への定植会に向け栽培していくためのハマボウフウの苗を、冬の間枯らさずに育てることに用いられた。定植会は毎年名取ハマボウフウの会が主催し、地域の人々の連携を図るイベントでもあるため、今回の植物工場組み立てによって子どもを中心とした地域振興に寄与することができたと考えられる。またこれらの苗の一部は、小中学校に常設する予定の校章をかたどった花壇に用いることも考えられている。この花壇づくり計画も来年度以降の研究として進めていく。 一方、同地区はカーネーションをはじめとした切り花の生産が有名な産業となっており、年度末より名取花卉生産組合の方々とつながりを作ることができた。これまで名取市で使用していたコンテナ型の植物工場を組合の方の農園に設置し、今後子どもの学びと連携できるよう、計画していく方針を立てた。 今後は、同地域の海側の特徴であるハマボウフウ、陸側の産業であるカーネーションをはじめとした花卉類について、子どもの学びと関連付けながら地域復興に活かすプログラムについて明らかにしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象地としている閖上小中一貫校との関係性を築けており、またこれまで関係のあったNPO法人名取ハマボウフウの会に加え、名取花卉生産組合の方々とも連携できる体制が整い始めている。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度より閖上小中一貫校で植物工場を用いて栽培しているハマボウフウは、海浜保護を行っているNPO法人名取ハマボウフウの会が主催する浜への定植会に活用する。また、苗の一部は、ハマボウフウを中心とした校章花壇制作に活用し、地域の人々が小中学校に関わることのできる場づくりを目指していく。 一方、同地区はカーネーションをはじめとした切り花の生産が有名な産業となっており、昨年度末より名取花卉生産組合の方々との連携も始めている。2019年度は組合の方々の協力を得て、小学生を対象とした農園見学や体験学習等の授業を実施していく予定である。こうした活動を足掛かりとして、今後、植物工場を用いた花苗栽培学習などにつなげていく。 上記取り組みは、閖上小中一貫校で進めようとしている、地域で学び地域の人々とつながる「閖上学」の一環として実施する。この実践を通し、地域の人々を継続的に巻き込むことができ、地域振興につながる閖上学のカリキュラムの一部を完成させることを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
対象となる閖上小中学校の状況と合わせながら研究を進めており、都合により今年度訪問する回数が想定より少なかったため。 次年度は連携して授業を行える機会が10時間分あるため、事前事後の打ち合わせも含め今年度使用できなかった分の交通費を使うことを計画している。
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