研究課題/領域番号 |
18K18314
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
阿久井 康平 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 助教 (90779315)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | コンパクトシティ / Compact-Index / エリアゾーニング / 都市のコンパクト性 / 居住特性 / 商業特性 / 公共特性 / レーダーチャート |
研究実績の概要 |
当該年度の研究成果として、主な研究対象として扱う富山市と神戸市を対象に〈居住特性〉〈商業特性〉〈公共特性〉の評価指標を用いたレーダーチャートを町丁目エリア単位ごとに作成し、データベースの充実化を図った。次に、これらの指標を用いたクラスター分析を行い、隣接・近接して類似傾向のあるエリアを類型化するなど『エリアゾーニング』の検討を行った。 具体的に、富山市では8つの地域拠点(中心市街地、稲荷町、南富山、速星、呉羽、岩瀬、水橋、八尾) を対象とした。地域拠点では拠点駅からの駅勢圏800m(徒歩約10分)に掛かる計302の町丁目を対象とした。ファクターとして〈公共特性〉では鉄道路線数、鉄道運行本数、バス路線数、バス運行本数、市役所・行政センター、総合病院、病院、地域包括支援センター、小学校までの実距離、〈商業特性〉では複合商業施設、大規模小売店舗、コンビニ、郵便局、銀行までの実距離という計14ファクターを扱った。302エリアのファクターを5段階のレンジで相対比較し、レーダーチャートによる評価を行った。結果を用いてクラスター分析を行い、GISに再投影した。地域拠点ごとに表れる類似性や差異の特性を示し、公共交通の利便性が極めて高く行政・商業サービスに優れたエリア、高齢者にとって居住しやすい一方で車に頼らないと十分な商業サービスを享受できないエリア、公共交通の利便性が極めて低く、公共・商業サービスともに全体的に利便性の低いエリアなどのまとまりを示し、エリアゾーニング手法構築の可能性を考究した。 神戸市では17の地域拠点(計956町丁目)を対象に、富山市の分析と同様にまず〈居住特性〉を用いて「Type Ⅰ都心バッファエリア」「TypeⅡ都心エリア」「TypeⅢ臨海産業エリア」「TypeⅣ山麓ニュータウンエリア」「TypeⅤ臨海居住エリア」「TypeⅥアイランドエリア」の6タイプに分類した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を進めていく上で重要となる評価指標の構築について問題なく進めることができており、評価指標の項目においては当初予定から更なる追加拡充を図ることができている。 一方、評価指標の検討にあたっては、グッドプラクティスとなる事例調査のフィードバックを重要視・精査することから、当該年度にポートランドへの調査を予定していたが、コロナウイルスの影響により断念せざるを得なくなったことも実情としてある。 しかしながら、富山市と神戸市については、構築した評価指標のデータ拡充を行うことができており、双方都市のデータを踏まえた比較検証を行うなどを実施することにより、一般化に向けた応用研究への可能性、発展性も見出せている。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に遂行することができなかったポートランドへの視察を行い、評価指標へのフィードバックを行い、精査を図る。また、エリアゾーニング手法構築の有用性を検証し、実用性を向上されるために、各地域拠点における将来ビジョンや土地利用との照合を行うなどギャップ分析を実施していく必要がある。そのために、地域拠点内の分析に終始せず、外側地域との比較を行うなどの分析も課題として挙げられる。さらに、富山市と神戸市の分析を通じて得られた結果より、一般化に向けた応用研究への可能性を模索することも今後の研究の推進方策として挙げられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度末に海外視察(ポートランド)を予定していたが、コロナウイルスの影響により渡航を断念せざるを得なくなった。当該年度の所要額と実支出額に差が生じているのは、この視察旅費分のためである。なお、当視察は翌年度に繰り越すことを想定している。そのため、当該年度に発生した差額分を翌年度の旅費として加え、翌年度分として請求した助成金と合わせて使用することを計画している。
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