研究課題
当該年度はワンガヌイ川の法的人格化とポスト人間中心に関わる文献調査、その他法的人格化に関わる世界的傾向や日本におけるポスト人間中心の研究についてまとめ、これらの結果を国際論文誌にて出版した。また、国際共著書籍においては、ワンガヌイ川と那珂川を行き来し着想を得た、ポスト人間中心へと向かう発想方法について発表した(実際の出版はR5年度)。実地調査に関しては、ワンガヌイ川の実地調査は自動車と徒歩が主だったが、タウマルヌイ上流から下る水面での調査を行った。さらにワンガヌイ川の最上流Te Porere Redoubt 周辺のフィールド調査を行った。これまでに報告した Nga Tangata Tiaki o Whanganui (以降 NTToW)との連携に関してはNgati Haua Iwi Trustと、今後の連携に向けて交渉中である。環境保全省の職員へのヒアリングも継続して行った。新規に行った調査ではアオテアロア・ニュージーランドにおけるワンガヌイ川以外のケースを中心に調査を行った。在来種の魚類や、持ち込まれたマスの影響、その他の自然と人工の間にあるこれまでの経緯や現状についてワンガヌイ川からタウポ湖のエリアにかけて実地調査を行った。またオークランド・タマキの山や丘の計画資料をあつめ、国全体としてのマオリ世界観からの自然と人の共生にモデルについての考察を行った。これまですすめてきた、那珂川での取組も平行して進捗があった。前出の出版以外に本研究のプロセスから得た知見を広く一般に伝えるべく、福岡県福岡市南区塩原小学校の授業に参画し、川の未来の共創を行う学習内容に関する指導や水上での講演を行った。これらは那珂川みらい会議で構築したネットワークを通じ行っている。前年度報告した、川をモチーフにしたアート制作は那珂川みらい会議のイベント中に塩原小学校付近の川辺で展示を行った。
3: やや遅れている
国際的な研究アウトプットの観点からは進捗が進んだ。また渡航が行えると判断し、実地の調査をすすめることができた。このことにより、本年度中に両国でのワークショップ実施とプロトタイプをすすめることができると考えている。このことにより以前より研究進捗状況は改善したと言えるが、やや遅れている。
マオリの伝統的な価値観から現代的なデザインの動向に対する考えと、当事者として川に関わる思いやポリティックス、活動の特性に関してはこれまでの調査では不住分であるため、実施を急ぐ。
新型コロナウィルスの状況を考え、前年度の後半に状況が改善したため、旅費を執行したが、フィールド先での円滑な研究を行うためには次年度へと延長したほうが良いと判断したため繰り越した。(報告時点で延長は認められた)
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Design for All (ISSN : 2582-8304)
巻: Vol 17, No. 6 ページ: 51-64