本研究では、庶民の生活における住まいの屋外空間を対象に、空間構成、意匠、使用方法、住意識、時代的変遷を捉え、そのデザインプロセスと実態について解明していく。デザインの専門家が関わっていない生活空間に対し、生活者のデザインをデザインの系譜に位置付けることを目的としている。文献調査に加え、実測や聞き取りなどの手法を用いた実踏調査により事例収集を行う。長い時間をかけて経験則から生み出された、その生活者によるデザインを評価し、学ぶことで、文化財の活用やこれからの生活に資するデザイン研究を目指す。本研究で明らかにする課題は、① 実測調査及び聞き取り調査による実態の把握、事例収集、② 資料文献調査による事例収集、③ ①、②を踏まえた生活者によるデザインプロセスの検証である。 令和4年度は、① について所属機関の位置する静岡県内の個人宅3軒及び大阪府の個人宅1軒の実測調査を行った。② ついて静岡県内の住まいに関する文献資料の収集を行った。③について静岡県内の住まいの事例についてデザインプロセスの検証を行い、その成果を発表する準備が出来つつある。 研究期間全体を通じて、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う社会情勢により、①について個人宅への調査を行うことが困難であった為、申請時に予定していた調査が行うことが出来なかった。また、 ②についても調査地の変更に伴い、それに沿った資料収集などを行う必要があった。そして、③について①の調査の遅れに伴い、今後の課題となった点が多い。
|