研究課題/領域番号 |
18K18320
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
鶴田 直也 東京工科大学, メディア学部, 助教 (90757931)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 形状モデリング / 折り紙 |
研究実績の概要 |
本研究では、形を見立てやすい「良い形」についての調査とコンピュータによる形状の自動生成手法の検討を行う。本年度は、幾何的なルールにしたがって生成した折りたたみ形状群を対象として、形のバリエーションをよく観察するために、シルエットがユニークになる折り方がどの程度含まれるかについて調査した。また、ユニット折り紙のためのモデリングシステムに関する研究発表を行った。具体的な内容は、以下の通りである。 折り紙の基本的な操作である目印のある折り方(「カドとカドを合わせる」「フチとフチを合わせる」「2つのカドを通るように折る」など)で正方形の用紙を折るとき、目印の組み合わせによって多数の候補が作られる。折りたたむたびに目印の数は増加するので、3回の折りたたみだけでおよそ1500通りの形状を取り得ることがわかっている。ただし、これは折りたたまれた状態として異なる形状の数を示しており、紙の重なり順が違うだけでシルエットは同一な形状も複数含まれる。そこで、生成した形状群から合同なシルエットを取り除いてユニークな形状のみを抽出すると、形状がユニーク(折り方もただ一通り)の形は1/3程度含まれることがわかった。残りの形状は複数の折り方が存在し、これらは長方形や正方形などの単純な形状が多く見立てが難しいため、このように形状数を削減すると特徴的で見立てやすい形状が多く得られる可能性がある。また、この合同判定によるユニーク形状の抽出を応用して、折り手順を推定することが容易あるいは困難な折りたたみ形状の設計手法を提案した。さらに、この手法を応用して、動物などに見立てた折り紙のシルエットクイズの問題作成に利用できることを示した。この研究成果を折り紙の科学・数学・教育に関する研究集会で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で述べたように、自動生成した形状群から特徴的な形状の抽出を試みたところ興味深い結果が得られた。見立てやすい形状の生成アルゴリズムを考える上で、アプローチの一つにできると思われる。一方で、初年度に予定していた形と想起される対象の名称が対になったデータの収集は遅れたため、本研究課題の進捗状況をやや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度得られた研究成果は、速やかに論文にまとめジャーナルに投稿する予定である。並行して、引き続き、形と想起される対象の名称を対にしたデータの収集に取り組む。オフラインでのデータ収集の初回として50人程度のワークショップを計画しており、それに向けた準備を進めている。様々な手法で形状を観察・分類し、形の見立てについての考察をより深められるよう研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
カッティングプロッターなどの機材が計画していたよりも安く調達できたため物品費の使用が少なく済んだ。今後のワークショップで使用する素材の購入や準備費用として使用する予定である。
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