研究課題/領域番号 |
18K18322
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
猪股 圭佑 武庫川女子大学, 建築学部, 准教授 (00634859)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ビザンティン / キリスト教絵画 / 装飾プログラム / オシオス・ルカス修道院聖堂 / ダフニ修道院聖堂 / ネア・モニ修道院聖堂 |
研究実績の概要 |
本応募研究課題はギリシアの中期ビザンティン聖堂建築の代表作と称される3聖堂、すなわちオシオス・ルカス修道院聖堂、ダフニ修道院聖堂、ネア・モニ修道院聖堂における実地調査を行って、キリスト教絵画の主題及び配置による空間構成を分析し、建築と絵画の統合的理解を試みるものである。 2019年度は、フォキスのオシオス・ルカス修道院聖堂において2018年度に行った実地調査で撮影した絵画の配置のわかる各室全体の写真と各部分の詳細写真の画像データを用いて、絵画をレイアウトした断面展開図やフォトスキャンソフトによる3次元モデルを作成した。さらにオシオス・ルカス修道院ゲストハウスへの宿泊、典礼への参加によるビザンティン聖堂におけるギリシア正教の祈りの空間の体験、修道院長との話をふまえて分析および考察を行い、「オシオス・ルカス修道院聖堂におけるキリスト教絵画による空間構成 その3 - キリスト教絵画の主題及び配置」(2019年9月, 日本建築学会大会学術講演梗概集F-2, pp.881~882)として日本建築学会大会で発表した。 本発表ではオシオス・ルカス修道院聖堂におけるキリスト教絵画の主題及び配置を分析し、建築と絵画の統合的理解を試みた。南斜面に向けて眺望のよい敷地に建つオシオス・ルカス修道院聖堂では、当初南出入口から北のルカスの墓へ向かってつくられた空間の上に、キリスト教聖堂としての西から東へ向かう空間が重なって構成されている。個々の空間として完結するように絵画が配置されながら、聖堂全体では墓の近くにルカスの図像と、それに関係づけられる位置に聖母マリアやキリストが描かれることにより、ルカスの墓を中心として意味付けられた、3 次元のビザンティンの宗教的空間が形成されたことを考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度に行った実地調査で撮影した写真の画像データを用いて、絵画をレイアウトした断面展開図やフォトスキャンソフトによる3次元モデルを作成し、分析および考察を行った成果を日本建築学会大会で発表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
実地調査の結果を用い、聖堂内部の断面展開図、合成写真、アクソノメトリック図、さらにフォトスキャンソフトによる3次元モデルを作成する。断面展開図による壁面・天井面の絵画の主題と配置の分析、合成写真やアクソノメトリック図を用いた絵画の配置による空間構成の分析を行う。これらを3次元モデル上で確認しながら建築的空間の意味の解釈を行い、各聖堂における空間設計上の意図を明らかにする。
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