本研究では、3次元空間に配置される複数の照明機器から構成される照明システムの構築を目指す。これは、複数の照明機器が自律分散的に3次元位置や点灯・消灯パターンを決定することで、空間全体の明るさの分布(照度分布)を制御するものである。具体的に、浮遊機能を有する「ホタル照明」を複数台導入し、それらを互いに協調させて3次元空間内の照度分布を制御する手法の開発を進めている。本年度は、実験装置の改良および点灯パターン制御アルゴリズムの構築に取り組んだ。 (1)実験装置の改良および点灯実験:3次元空間内の明るさの分布を制御する照明システムとして、複数の照明機器を装置の天井から吊り下げ、上下左右方向の移動を可能とした実験装置を製作し、改良を進めている。とくに、照度を測定する装置の電動化を進め、空間内の照度分布の測定を半自動化した。また、空間の照度を測定する際に、複数の面の照度を平均することで各地点の照度を評価する手法を採用した。 (2)点灯パターン制御アルゴリズムの構築について:これまでに構築していた平面内の照度分布制御手法を拡張して、3次元空間に配置された照明機器の点灯パターンを決定するアルゴリズムを開発した。空間を格子状に分割し、予め照明機器を配置可能な候補地点を指定することにより、平面内の照度分布制御手法を3次元空間の照度分布制御へと活用できるようにした。照明機器の個数に応じて急激に計算コストが増加することは無いが、空間内の同じ地点に複数の照明を配置することはできないなどの、実際の装置における問題について改善を行うことが今後の課題である。
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