研究実績の概要 |
全国散り散りになった原発避難者は, 避難者であるというスティグマによって口を閉ざし, 孤立した状況下で生活をおくっている。 震災前の町の様子や思い 出は語られなくなり, 町自体が消滅したかのようになってしまった。次世代に向けた地域の記憶や文化の継承は危機的状況である。 この状況を改善するために は,避難者の語りを積極的に引き出し, アーカイブできるシステムが必要である。 本研究では、バーチャルコミュニケーションを原発避難者のスティグマ解放と地域記憶継承問題のために,浪江町民がどこからでも参加でき, 心の拠り所となる ようなバーチャルコミュニティー形成モデルを開発し,第三者も利用閲覧可能な新しいタイプのアーカイブシステムを構築することを目指している。 今年度は新型コロナウィルス感染防止のため延期になった「ナミエノジカン」を使用してのワークショップおよび、写真撮影講座の開催目処が立たないため、引続きこれまで収集したライフストーリーのまとめと映像、写真のビジュアル分析を行い、冊子作成の編集を開始した。さらに、コロナによりワークショップ 開催が困難である現状を踏まえ、ワークショップによる語りの促進よりも、より自律的で、持続可能なオンラインベースのプラットホームが必要であると考え、 新たなデジタルサイト構築の計画をした。定期的にゴフマンの理論をはじめ、相互行為論について研究会で議論を重ねた。
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