研究実績の概要 |
全国散り散りになった原発避難者は, 避難者であるというスティグマによって口を閉ざし, 孤立した状況下で生活をおくっている。 震災前の町の様子や思い 出は語られなくなり, 町自体が消滅したかのようになってしまった。次世代に向けた地域の記憶や文化の継承は危機的状況である。 この状況を改善するために は,避難者の語りを積極的に引き出し, アーカイブできるシステムが必要である。本研究では、バーチャルコミュニケーションを原発避難者のスティグマ解放と 地域記憶継承問題のために,浪江町民がどこからでも参加でき, 心の拠り所となる ようなバーチャルコミュニティー形成モデルを開発し,第三者も利用閲覧可 能な新しいタイプのアーカイブシステムを構築することを目指している。 総括として、毎日どこでも誰でも投稿が可能な「ナミエノジカン」というデジタルカレンダーを制作した。このカレンダーは写真と物語を同時に投稿できるものである。最終年度はこの365日間綴られたオンラインプロジェクトを本にまとめた。社会学者、アートキュレーターの方々にも記憶をお願いした。完成した本は、浪江町や、これまでお世話になった方々に配布した。
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