本研究の目的は、第二次世界大戦前後の時期における戦争に関する映像資料の構成と展開を基軸として、日欧米の公共的放送番組アーカイブを調査し、これまでおこなわれていなかった国際比較の観点にたって、それぞれの特性を解明することである。 2023年度は、前年度に引き続き、各国の放送番組アーカイブにおける調査結果に基づいて考察を行い、成果を論文として発表した。 考察にあたっては、訪問調査やインタビューの結果およびデータベースにおけるコンテンツ収蔵の構造と戦争映像コンテンツ展開に関するデータの整理結果を参照し、日欧米各国の公共的放送番組アーカイブの比較分析をおこなった。また、日欧米の公共的放送番組アーカイブをコンテンツ展開の観点からも比較し、考察を進めた。 本研究によって得た知見に基づき、特にアメリカとカナダにおける第二次世界大戦期の日系人収容に関するアーカイブ映像を比較分析し、2023年11月に論文を発表した。また、研究分担者として参加することとなったデジタル映像アーカイブの未来研究が発行する予定の図書『映像アーカイブ・スタディーズ』に「テレビ番組保存体制の国際比較」を掲載する予定である。
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