研究課題/領域番号 |
18K18328
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
三原 鉄也 筑波大学, 図書館情報メディア系, 特任助教 (20763626)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マンガ / メタデータ / 人文情報学 / ディジタルヒューマニティーズ / IIIF / ディジタルアーカイブ |
研究実績の概要 |
本研究は、日々増え続けているマンガをディジタル環境、とりわけWeb上で効率的に蓄積し、探索や利用が容易しやすいように提供するという課題に対して、マンガのコンテンツ画像とその構成要素に関するメタデータを組み合わせてWeb上で提供するための枠組みを提案するものである。具体的には、下記の4つの機能を開発し、マンガの部分構成要素単位でのコンテンツの表示や検索のためのシステムの構築を進めている。 1) マンガの個々の構成要素にWeb上でアクセスするための識別子(URI)を与え、それらに対応するコンテンツの部分画像を提供する機能2.)単一の画像ではなく、作品や書籍などのパッケージ化された単位でコンテンツを提供し、それらを構成する画像と画像内のマンガ構成要素に関する情報を同時に表示する機能(ビューワ機能) 3) マンガコンテンツ内の表現の構造や物語の内容を対象として、マンガの構成要素をクエリとして用いた検索機能 4) マンガの内容や関連情報が記述された外部のLODデータセットとマンガをメタデータで紐付け、表示や外部データセットを用いたコンテンツ検索機能 本年度は、画像提供機能、ビューワ機能について、ディジタルアーカイブにおいて画像データとその注釈情報を公開し共有するための国際標準であるInternational Image Interoperability Framework (IIIF) を採用して構築した。IIIFで提供されるLinked Dataに則って画像の任意の領域にURIを与えるAPIを用いて、コンテンツ画像の領域を個別のマンガの構成要素とリンクで紐付けし、マンガ画像とそのメタデータを画像とそれに対する注釈情報として同時に提示する環境を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度はマンガの構造メタデータとそれらを用いた各機能の開発を進めた。まずLODに則ったマンガの構造メタデータのデータモデルを設計し、IIIFに準拠するコンテンツ・注釈表示用データを自動的に生成するためのマッピング定義と生成システムを開発した。加えてIIIF対応ビューワを拡張し、構成要素のフィルタリング表示機能を持ったマンガのビューワを開発した。このビューワを拡張して、マンガの構造メタデータを用い、マンガコンテンツ中のオブジェクトに対してURIが付与し、オブジジェクトと対応する画像の箇所を関連づけてビューワを用いてオブジェクトに相当する部分箇所を表示、外部サービスから引用する機能を実現した。これらは本研究で提案する機能の核となる基本機能であり、前年度においてその実現が概ね達成されていることから、進捗は概ね順調であると考えている。 一方で、研究に利用するためのサンプル用マンガの制作・調達やそのためのメタデータの開発は研究利用に必要な著作権処理に時間を要しており、未だ達成できていない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は前年度開発した機能の拡張及び実際の利用環境を想定した運用と検証を中心に進める。 具体的には、機能面では構成要素をクエリやファセットとして利用するインターフェースを備えた検索機能を開発し、ビューワに拡張、追加する。加えて外部のLODで提供されているリソースを参照、利用するためのリンク付けを自動的に行う機能拡張も開発する。 運用・検証面ではに、前年度制作したサンプル用マンガの他、既に研究用に公開されているマンガのコンテンツ画像の構造メタデータの作成を進め、前年度構築したシステムをWeb上で公開し、実用に即したシステムの機能追加を進める。合わせて、メタデータ作成の効率化のために、構造メタデータを(半)機械的に作成する手法の開発にも取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
マンガ画像データの利用許諾が難航しており、当該画像のメタデータ作成が遅滞しているため。 次年度に画像データの利用許諾を調整するもしくは利用可能なマンガ画像を新たに調達し、そのメタデータ作成を速やかに実施する。合わせて、メタデータを効率的に作成するツール開発の費用として用いる計画である。
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