研究課題/領域番号 |
18K18334
|
研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
片山 ふみ 聖徳大学, 文学部, 准教授 (80507864)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 出版者 / 絵本 / 選書論 / ハビトゥス / 保育士 / 司書 |
研究実績の概要 |
本研究は、出版者を中心に児童書を取り巻く大人たち(司書、保育士、幼稚園教諭、書店員等)の軸足の違いや共通性を多層的に把握しながら、彼らのハビトゥス(思考、価値観、行動様式など)を明らかにすることによって、広い意味での子どもの読書環境や児童書の選書過程を把握することを目的としている。 2023年度は、前年度に引き続き過去の調査結果の再分析と成果発表を行いながら、図書館における特定資料の提供のされ方に着目し研究をおこなった。その結果、次の3つの研究を遂行した。 ①絵本の選定行為(出版,選書,読み聞かせ等)に関係するいくつかの職業に焦点を当て、先行研究で明らかとなっている職業ごとの絵本に対する価値観(絵本選択の際の基準、好み、優先順位、評価などの総体)とそれを支える意識を整理し、その共通性から子どもの読書環境の状況を考察した。分析の視点として、普遍的価値と同時代的価値という尺度を用い、出版界・図書館界・幼児教育界・保育界の共通性を分析した。『図書館綜合研究』に「大人の絵本に対する価値観からみえる子どもの読書環境:出版界、図書館界、幼児教育・保育界の共通性から」というタイトルで投稿し、査読の結果、掲載が決定している。 ②①で明らかになった点を読書支援と結合させて、絵本を選ぶという行為にかかわる職業の意識がどのように読書支援の幅を広げたり狭めたりしうるのかについて「絵本の選書と読書支援」というテーマで講演を行った。 ③①②で明らかとなった大人たちの価値観が実際にどのように子どもの読書環境に影響をあたえているのかを分析するために、「子どもが繰り返し読みたがる絵本の傾向」について調査分析をし、口頭発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実母の介護により研究の時間が確保できなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
以下の通り研究を進める予定である。 1.カナダにおける調査について、日本とカナダの状況を比較し、日本と英語圏における子どもの読書環境の相違点や共通点を考察し研究論文として発表する。 2.出版者へのインタビュー調査と報告。 3.文庫関係者へのインタビュー調査と報告。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は実母の介護で、本研究課題の遂行に遅れが生じた。2024年度は、研究発表のための旅費、調査にかかわる経費等で研究費を使用する予定である。
|
備考 |
「聖徳大学川並弘昭記念図書館こども図書館における体験的な学び」令和5年度千葉県子ども読書の集い 2023年5月13日、「絵本の選書と読書支援」.早稲田大学生涯学習専修講演 2023年6月15日、「大人が子どもによむ絵本の選び方」牛久市立中央図書館図書館絵本講座 2023年6月23日、第25回図書館総合展ポスター発表「子どもが繰り返し読みたがる絵本の傾向」10月24、25日(来場者投票1位)
|