行為主体感とは,自分の行為が何らかの結果を生じさせた時に,その結果を生じさせたのが自分であると感じる感覚のことである。本研究では,人間やコンピューターのような自分以外の存在(他者)との接触を伴う場面で,行為主体感がどのように生起するかを検討した。その結果,人間か機械かにかかわらず,事前に他者の存在を知覚することが行為主体感を低下させることが示された。また,そのような効果は事後的に他者を知覚した場合には生じないため,記憶の中での行為主体感の歪みではないことが示された。また,副次的な効果として,オンライン環境で行為主体感を測定する方法が開発された。
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