本研究は、情景に含まれる物体同士の位置関係の観点から、情景に対する馴染み感の要因を究明することを目的とした。従来、2次元条件下での類似度を制御する実験は困難とされていた。しかし、本研究では、2つの情景の類似度をn-gramで定義し、被験者の反応に基づいて1-gramと3-gramを動的に調整することでこの問題を解決した。さらにこの方法より、ヒトの2次元情景への馴染み感を検討を行った。その結果、個々の要素の頻度と複数物体の並びの頻度が、時間的に最近見たかどうかという記憶と相互作用することが明らかになった。また記憶の減衰や判断の困難さが馴染み感に影響を及ぼす可能性が示唆された。
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