研究課題/領域番号 |
18K18351
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
櫻井 遊 千葉大学, 大学院薬学研究院, 特任助教 (00707234)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 脂質ナノ粒子 / siRNA / がん / 転移 |
研究実績の概要 |
今年度では、抗がん剤耐性となった乳がん細胞4T1/DOXの作成を行った。IC50程度の濃度のドキソルビシンに暴露した4T1細胞を8週間程度培養し続けることで、通常の4T1細胞と比較して100倍程度ドキソルビシン耐性を持った4T1/DOX細胞の確立に成功した。この作成したがん細胞を移植した担がんマウスを作成し、ドキソルビシン封入リポソームを投与したところ、通常の4T1細胞を移植した場合にはドキソルビシン封入リポソームが奏功したものの、耐性株ではドキソルビシンによる治療効果が認められなかった。そこで、これまで我々が開発したがん血管を標的とするRGDペプチドを修飾したsiRNA封入脂質ナノ粒子にvascular endothelial cells growth factor receptor 2(VEGFR2)に対するsiRNAを内封し投与したが、効果は認めれなかった。一方で、その抑制によって非生産的な血管の増加を介してがんの成長を抑制することが知られているdelta-like ligand 4(DLL4)に対するsiRNAを投与したところ、overall survivalの延長が認められた。VEGFR2のsiRNAを内封したRGD-MENDは原発巣においては奏功したことを明らかにしており(Sakurai Y et al. J Control Release 2013)、原発がんと転移がんでは治療標的が異なる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ドキソルビシン耐性の転移がんの作成と、siRNA内封した脂質ナノ粒子による治療効果が得られたことにより論文報告(Sakurai Y et al., Mol Ther Pncolytics 2018)に論文報告するなど、当初の計画では2019年度以降に行う予定であった結果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度においては、引き続き内皮細胞に対する新規のリガンドの探索や修飾方法の最適化をすすめる。また、初年度において検討していたクリック反応を用いた蛍光標識方法の確立についても、銅触媒の有無、反応温度の観点などから引き続き検討を進める予定である。
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