精子の運動は,細胞周りの流れや粘度といった力学環境によって支配されており,本研究ではそれら物理要素が精子運動にどのように影響を与えるのかを明らかにする.特に(1)粘弾性流体中の精子の運動を解析し,デボラ数に依らず遊泳の効率は維持されること,実験的に観察される波形変化は高効率化をもたらす.(2)精子二体干渉を解析,精子間に働く流体干渉によって協調運動が起こり,遊泳速度が単体遊泳時にくらべ1割程度上昇する.(3)流体運動による多体干渉によって,一方向性の流れが誘起されることなどを明らかにした.これらの結果は,8編の雑誌論文にて発表している.
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