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2018 年度 実施状況報告書

筋細胞と腱細胞の3次元共培養法を用いた腱を有する骨格筋組織の構築

研究課題

研究課題/領域番号 18K18358
研究機関東京大学

研究代表者

島 亜衣  東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (50757309)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード再生医学 / 細胞・組織 / 発生・分化 / 組織工学
研究実績の概要

本研究の目的は、骨格筋細胞と腱細胞からなる3次元腱付き骨格筋組織を構築し、筋腱接合部の構造を詳細に観察するとともに、腱組織の有無が筋収縮に与える影響を解析することである。
本年度は、3次元的に培養すると自発的な筋収縮と電気刺激依存的な筋収縮を示すことが既知であるヒト骨格筋細胞株と市販の初代ヒト腱細胞をそれぞれハイドロゲルに包埋し、両細胞種を含むひも状組織を構築して培養を行った。組織形成に用いる骨格筋細胞と腱細胞の細胞密度は等しくし、それぞれ異なる種類のハイドロゲルに包埋して、生体の構造を模してひも状組織の両端に腱細胞、中央に骨格筋細胞を配置した。以上の条件で3次元組織は構築可能であり、ひも状組織は損傷することなく10日間以上培養することが可能であった。この組織中の骨格筋細胞は培養時間の経過とともに互いに融合し、ひも状組織の広範囲にわたって多数の筋管細胞を形成して、自発的収縮を開始した。免疫組織染色により、これらの筋管細胞にはサルコメア様の構造が形成されることを認めた。すなわち、腱細胞と共培養下であっても、骨格筋細胞は機能的な筋組織を構築可能であることが示された。
さらに、線維芽細胞の一種である腱細胞を3次元的に培養した状態で骨格筋細胞と共培養した場合に、骨格筋細胞の増殖や分化がどのように影響を受けるかを調べるために、線維芽細胞から構築した3次元組織から放出される因子が骨格筋細胞に与える影響を解析可能な実験系を確立した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までに、ヒト骨格筋細胞とヒト腱細胞を用いた3次元組織の構築と、自発的筋収縮を認めるまでの長期培養、免疫組織染色による骨格筋組織の細胞生物学的評価を達成しており、研究はおおむね計画通りに進行している。

今後の研究の推進方策

現在までに、ヒト骨格筋細胞とヒト腱細胞を用いて構築した3次元組織の骨格筋組織部分については、免疫組織染色による細胞生物学的評価を行いサルコメア様構造の形成を認めた。腱組織部分については細胞形態の観察を行ったが、今後は免疫組織染色等による細胞の分化状態の解析を行う。また、生体の腱組織に近づけるために、現在の条件よりも少数の腱細胞で組織構築可能な培養条件を検討する。骨格筋組織部分は自発的に筋収縮を開始することを認めたため、腱組織の有無による筋収縮状態の変化や、筋収縮開始前後で腱組織が変化するかどうかを調べる。
さらに、3次元的に培養した線維芽細胞から放出される因子が骨格筋細胞に与える影響を解析可能な実験系を確立したため、骨格筋細胞の増殖・分化に与える線維芽細胞由来因子の影響について解析する。その結果をもとにして、3次元腱付き骨格筋組織における両細胞種の相互作用について評価する。

次年度使用額が生じた理由

当初の研究計画では、ヒト腱細胞を用いた組織構築が困難であった場合に使用する細胞の候補として、ラット由来の初代培養細胞を考えていた。しかし、ヒト骨格筋細胞と市販のヒト腱細胞を用いた組織構築が可能であったため、初代培養は行わず、その分に計上していた予算は本年度に使用しなかった。
一方で、当初予定していなかった、線維芽細胞から構築した3次元組織から放出される因子が骨格筋細胞に与える影響の評価についても研究が進展しているため、その論文発表にかかる費用として当該金額を次年度に使用予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] CELL-LADEN MICROFIBER AS GROWTH FACTOR SUPPLIER2019

    • 著者名/発表者名
      Ai Shima and Shoji Takeuchi
    • 学会等名
      MEMS 2019
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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