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2019 年度 実績報告書

ヒトiPS細胞由来膵島組織を用いた炎症による糖尿病モデル膵島組織構築

研究課題

研究課題/領域番号 18K18359
研究機関東京大学

研究代表者

篠原 満利恵  東京大学, 生産技術研究所, 助教 (00789133)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード膵島 / 炎症 / マクロファージ
研究実績の概要

糖尿病治療のための機能的な膵島組織構築に関する検討は盛んに行われているが,糖尿病を発症する過程で起きる膵島の炎症についてはin vitroでの検討がほとんど行われて来ていない.1型,2型糖尿病における発症機序は異なるものの,1型糖尿病では発症の初期に膵島炎がおきてリンパ球が浸潤し,2型糖尿病においても炎症により膵島にマクロファージが浸潤し,膵β細胞のアポトーシスが進行していることが報告されている.そこで,本研究では,膵島の炎症によって起こる膵β細胞の細胞死と免疫細胞の膵島への浸潤をin vitroで再現する培養系を開発し,糖尿病のモデル膵島となり得る培養組織を形成することを目的とした.
まず、膵島様組織形成のための培養基板として,マイクロウェルを底面に持つプレートを作製し,マウスインスリノーマ細胞株MIN6-m9,マウス膵α細胞株alpha TC1 clone 6を用いて共培養凝集体を形成した.また,ヒトインスリン産生細胞株iGL細胞、ヒトiPS細胞由来膵β細胞を用いて膵島様凝集体を形成した.ヒトiPS細胞由来膵β細胞の分化誘導法においては,アクチビンを使用しない手法を開発した.形成した膵島様組織に対してIL-1βやIFN-γを添加し,インスリンの分泌能,インスリン分泌に関する遺伝子発現量,炎症性サイトカイン,ケモカイン類の産生について検討を行ったところ,用量依存的にインスリンの分泌能が低下し,CCL3やCXCL1といった炎症性の因子の産生能が増加した.さらに,M1マクロファージに分化させたヒト単球由来細胞株THP-1との共培養により,アポトーシス,細胞死が顕著にみられた.すらわち,マクロファージからのIL-1β刺激による膵β細胞障害を再現できる可能性が示唆された.本研究の培養系は,膵島炎症時のマクロファージと膵島の相互作用を再現する培養系として期待される.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Endodermal differentiation of human induced pluripotent stem cells using simple dialysis culture system in suspension culture2019

    • 著者名/発表者名
      Shinohara Marie、Choi Hyunjin、Ibuki Masato、Yabe Shigeharu G.、Okochi Hitoshi、Miyajima Atsushi、Sakai Yasuyuki
    • 雑誌名

      Regenerative Therapy

      巻: 12 ページ: 14~19

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.reth.2019.05.004

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 多能性幹細胞の大量培養法の現状:透析浮遊培養を用いたヒトiPS細胞の分化誘導2019

    • 著者名/発表者名
      チェ ヒョンジン、篠原 満利恵、酒井 康行
    • 雑誌名

      Organ Biology

      巻: 26 ページ: 175~184

    • DOI

      10.11378/organbio.26.175

  • [学会発表] ヒトiPS細胞由来膵β細胞凝集体の効率的調製のための透析浮遊培養2020

    • 著者名/発表者名
      チェ ヒョンジン,酒井 康行, 篠原 満利恵
    • 学会等名
      第20回日本再生医療学会総会
  • [学会発表] Macrophage aceralates inflamemation of pancreastic β-cell aggregates2019

    • 著者名/発表者名
      Marie Shinohara, Thalia Nghiem, Qiao You Lau, Fumiya Tokitou, and Yasuyuki Sakai
    • 学会等名
      microTAS2019
    • 国際学会
  • [学会発表] 酸素透過性多孔質担体を用いた膵島様組織培養2019

    • 著者名/発表者名
      時任文弥,篠原満利恵,丸山優史,酒井康行,大竹勝人
    • 学会等名
      化学工学会第84年会
  • [学会発表] Cost-effective differentiation of human iPS cells to pancreatic β-cells based on aggregate suspension culture with dialysis operations2019

    • 著者名/発表者名
      Hyunjin Choi, Marie Shinohara, Yasuyuki Sakai
    • 学会等名
      ISSCR 17th Annual Meeting
    • 国際学会

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公開日: 2021-12-27  

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