研究課題
細菌検出用バイオセンサの開発を中心に検討し、細菌培養に必要な装置・試薬一式を購入し、研究室内に細菌培養エリアを構築した後、電気化学的な検出原理の検証を進めた。具体的には、フォトリソグラフィーにて2µmのセンシング領域を持つ細菌検出用バイオセンサを試作し、イムノリアクションに基づく方式による検出を検討した。細菌をセンサ表面に捕捉するプローブ分子の選定はELIZAにて行い、選択性の高い抗体を見出した。プローブ分子の検討後、電極材料を金として、センサ表面にチオールを介してアミノ基を導入しカップリング反応により抗体を固定化した。センシング領域とアウトプットシグナルの関係を明らかにするためインピーダンス、サイクリックボルタンメトリー、ディファレンシャルパルスボルタンメトリーにて測定法を検討し、細菌を電気化学的に検出可能であることを実証した。センサパフォーマンスの向上を目指し、プローブ分子の密度、センサの集積化、細菌をターゲットとした電気化学検出を試みている。モデル細菌としてまずは扱いが容易な皮膚常在菌3種の同時計測を目指しているが、現状マルチ計測は達成していない。並列解析のための電極配置に改善の余地があるため、引き続き、より実際の測定に則した形でデザインを行う。また、モバイルデバイスに適した計測アプリケーション作製を並行して検討している。LabVIEWを用いたノートPC用計測システムのプロトタイプは作製したが、マルチチャネル入力には対応していない。より複雑な計測に対応するLabVIEWベースの計測システムを作製するとともに、簡易表示化も検討する。
2: おおむね順調に進展している
モデル細菌を用いて電気化学的に検出するバイオセンサチップの作製に取り組み、イムノリアクションに基づく方式にて検出の目途が立った。最終年度のシステム化・実装化に繋げることができたためおおむね順調な経過といえる。
疾病関連細菌のマルチ検出が課題として残っているため、現状達成できている検出原理を拡張することで、高速検出を実現するバイオセンサのプロトタイプ試作が可能となると考える。また、手軽にセンシング結果を表示するために簡易表示化を検討する。
参加を見込んでいた国際学会に学内用務のため参加しなかったことと、購入予定であった一連の試薬を購入せずとも検出原理が確認できたため次年度使用額が生じた。一方で、研究の進捗により、今後微細加工装置使用料やスパッタリングターゲットの費用が生じるため、センサ試作代として使用する予定である。
すべて 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Sensors and Materials
巻: 30(5) ページ: 1175~1175
10.18494/SAM.2018.1733
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http://www.tmd.ac.jp/bsr/index.html