研究課題
ヒト嚥下関連脳律動解析のため、てんかん患者のうち手術のため一時的に頭蓋内電極を留置した患者を対象に嚥下課題を行い、頭蓋内電極のデータを計測した。これまでのところ約10名程度の嚥下時脳活動を計測することができた。嚥下時脳活動解析を行うためのプログラムをMatlabベースで作成し、解析を行ったところ、嚥下時には高周波脳活動であるHigh γ帯域の活動がシルビウス裂に沿った脳領域で一時的に上昇することが確認された。同High γ活動は嚥下時実行後よりも嚥下実行前に強くなる傾向があった。またHigh γ活動が上昇する前に低周波帯域とのカップリング現象が出現していることがわかり、より詳しい解析を今後行なっていく予定である。嚥下に関連したHigh γ活動がシルビウス裂に沿って出現することが分かり、この活動を用いて嚥下時脳活動の解読が実現できるかどうかをAlexnetの転移学習を用いて確認した。脳波データをイメージデータに変換し、そのイメージデータをトレーニングデータとして転移学習を行った。その結果、High γ活動を用いて転移学習を行った場合に75%の解読精度を得ることができ、他の低周波帯域を用いた場合よりも優位に精度が改善することが確認された。嚥下時脳機能解析の結果、嚥下に関連しHigh γ活動が出現することを明らかにし、そのHigh γ活動を用いることで嚥下時脳活動の解読精度が改善することが確認された。今回の結果は今後の嚥下機能を再建するブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)の実現のためには必要不可欠な情報であり、科学的に意義深い。今後は解析を進め、結果をまとめ、論文として発表していく。
2: おおむね順調に進展している
嚥下時脳活動を予定通り計測することができた。また、嚥下関連脳活動がある程度解明でき、それを用いて嚥下時脳活動の解読も実行可能であることが確認できた。現在はその内容についてより詳しい解析を実行している最中である。
嚥下時脳活動のより詳しい解析を行い論文化する。その結果をもとに嚥下時脳活動の解読についての研究を進め、こちらについても論文化していく。
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脳神経外科ジャーナル
巻: 29 ページ: 216~220
10.7887/jcns.29.216
CI研究
巻: 40 ページ: 127~133