研究課題/領域番号 |
18K18371
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
糸魚川 善昭 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30771810)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エラストグラフィ / 筋 / 腱板 / 肩 / 超音波 / MRI |
研究実績の概要 |
今年度の本研究の目的は①Open MRI を利用したmagnetic resonance elastography (MRE)システムの開発と②動物筋腱損傷モデルにおけるMREシステムの評価であったが、まずは深部筋である肩腱板筋に弾性波を効率よく発生させるための振動子を開発した。上腕骨大結節に付着し臨床上重要な腱板筋は棘上筋と棘下筋であるため、まずはこの2つの筋に対して2つの振動子を組み合わせて加振周波数を62.5 Hzで棘上筋、棘下筋の深部にまで弾性波を発生させ、弾性を計測する事が可能であった。また、静磁場強度が0.3 Tのオープン型MRIにより、弾性波を高い振幅対ノイズ比で画像化するためのパルスシーケンスを設計し、得られた弾性波画像から局所波長を抽出して適切な弾性算出法を用いることで、組織の弾性率を計測する事が可能となった。来年度はさらに、腱板筋は4つの筋で構成されているため4つ全ての筋に弾性波を発生させる振動子を開発し弾性計測が可能であるかの検討を行い、その後ボランティアの健常者を用いた研究へと進めていく予定である。 ②に関してはブタの肩関節6肩を用いて棘上筋腱損傷モデルを作製し、損傷前後にMREとすでに計測方法が確立されている超音波剪断波エラストグラフィ(SWE)を行い、損傷前後の棘上筋の硬さを計測した。MREの加振周波数は80Hzと62.5Hzでそれぞれ行った。80HzのMRE、62.5Hz のMRE、SWE全てにおいて有意に損傷後は損傷前に比べ棘上筋の弾性率が低下していた。これは棘上筋の緊張が損傷後低下したことによって起こった事が推測され、その状態をMRE、SWE共に画像解析から定量する事が可能であった。今回の②の研究結果は2019年9月に開催される国際肩肘学会にて一般口演(開催地:ブエノスアイレス)で発表する事が予定されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目的であったMRエラストグラフィシステムの開発とそれを用いた動物実験が予定どおり行なわれ、その結果も一部データ解析中ではあるものの、ほぼ仮説どおりの結果が得られたため順調に進行していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、上記②の動物実験のさらなるデータ解析と英語論文作成中であり、それを平成31年度中に論文掲載させることを第一の目的とする。さらに上記①のMRエラストグラフィシステムを用いた健常者での実験を予定通り平成31年度夏頃から開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年に購入予定であった高額機器であるQD肩用コイル(日立製作所)の購入(150万円)を現段階で必要かどうか検討している最中であり、差額が生じたと思われる。31年度の健常者の実験を開始し検討してから、再度それが必要かどうか決める予定である。
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