研究課題
MRエラストグラフィ(MRE)を用いて全ての腱板構成筋に弾性波を発生させる振動子を開発し、予備実験からすべての腱板筋の弾性を1度で計測可能である事がわかった。2022年度はNを増やす予定であったが新型コロナウイルスの蔓延によりヒトを対象したin vivoでのMRE実験が完全にストップされた状況が続いておりMRE実験が出来ない状況であった。しかし、エラストグラフィを用いて肩関節の硬さを調べる研究として、大学野球47選手を対象に超音波エラストグラフィ(SWE)を用いて肩関節周囲筋腱の硬さと投球時痛との関係を調べる研究を行った。投球側と非投球側の腱板、腱板筋と後下方関節包の弾性率を計測し、投球側と非投球側のそれぞれのSWE値を比較し、さらにロジスティック解析にて投球時痛に関連する因子を解析したところ、投球側の棘下筋、後方関節包は非投球側よりSWE値が上昇し、肩甲下筋腱は低下していることが分かった。また、ロジスティック解析にて棘下筋の弾性率上昇のみ優位な関連因子であった。この研究結果は本年度のEur J Orthop Surg Traumatolに掲載された。また、80名の腱板大断裂と広範囲断裂した患者に対して鏡視下腱板修復術を行った患者を対象に、術前に棘上筋と棘下筋のSWE計測と一般に使われているMRI上での断裂サイズ、棘上筋の脂肪変性をGoutallier分類でスコアリングし、術中の腱板の硬さを予測できるかどうかの臨床研究も行った。ロジスティック解析の結果、棘上筋と棘下筋のSWE値の平均が最も有意差をもって予測出来る事が分かった。SWEが術中の硬さを術前に予測出来ることにより鏡視下腱板修復術の腱移植が必要か否かの術式選択を正確に予測出来る事を意味し、SWEが臨床でも非常に有用であることが示唆された。この研究は大阪関節鏡フォーラムで発表し、今年度英語論文にする予定である。
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