脳機能は多くの細胞の協調した活動により構成され、個々の活動とその相互作用を総和として観察することは、情報処理のメカニズムを理解するために重要である。その一方で、従来の脳機能計測法では、自由に行動できる状態で、全脳の細胞活動を生体内で3次元的に可視化することは難しい。本申請は、覚醒行動下における全脳での神経細胞の高解像度での3次元マッピングを可能とする技術開発を目的としている。 これまでに、自由行動下での造影剤投与プロトコルと行動課題の探索、新規造影剤の神経トレーサーとしての応用を検討してきた。しかし時間分解能の点ではMRI以外のモダリティを使用し、脳の賦活領域の比較を行う必要があり、二光子顕微鏡を用いて、マルチモダルに遂行可能な行動課題の探索を進めてきた。また、MRI脳アトラスを二光子顕微鏡画像に重ね合わせる技術開発を進め、二光子顕微鏡計測結果とMRI計測結果の比較を実施した。重ね合わせの精度に改善の余地はあるが、同一個体でMRIと二光子顕微鏡画像の重ね合わせに成功した。
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