研究実績の概要 |
新たに開発した媒質の分散特性を考慮できるアルゴリズムを改良し,媒質の誘電率モデルから等価回路化を行い,媒質内に吸収される電磁エネルギーを時間領域に追えるようにした.開発したアルゴリズムの妥当性を検討するために,帯域1 GHzまでの広帯域パルスを誘電体球モデル及び人体モデルに照射し,誘電体内または体内の誘導電界強度を算出し,理論値または固定周波数で励振したときの比吸収率を比較した.その結果,新たに開発したアルゴリズムによる解析結果と理論値が一致したため,本手法の妥当性を確認することができた. 次に,人体内の位置推定アルゴリズムを開発するために,詳細人体モデルの胃内にランダムに配置された長さ1 cm, 2 cm, 3 cmの短縮ダイポール波源からの電波伝搬特性を開発した周波数依存型FDTD法により計算した.具体的には,ダイポール波源を胃内におき,人体の外部(人体表面から約1.5 cm)にある108ヵ所の観測点における受信電界を計算した.入力波形及び受信電界の時間波形を用いて,伝達特性を求めた.その結果,周波数300 MHz - 3 GHzの範囲内で高い伝送特性が得られ,受信電界の位置にもよるが,ピークの周波数は1 GHz付近に現れることが確認された.さらに,伝送特性から電力プロフィールの遅延時間などを算出し,今後の位置推定アルゴリズムの開発に必要な情報を得ることができた.
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