研究実績の概要 |
前年度までに、本提案課題である光応答性薬剤担持型バルーン(Cy5-PC-latex)の概念実証について成功した。今年度は、(i)担持した薬剤の結合安定性、(ii) Cy5-PC-latexの血液適合性、(iii)in vivo実験に向けた実験条件/測定環境についての検討を実施した。(i)担持した薬剤の結合安定性: ①Dry shakeテスト、②血液中でのshakeテストにより、結合した薬剤の安定性を評価した。比較のために、従来法である物理吸着により薬剤をバルーン表面に固定したCy5-AC-latexを作成し用いた。その結果、両テストにおいて、我々の提案するCy5-PC-latexが従来のCy5-AC-latexを遥かに上回る安定性を示すことが確認された。(ii) Cy5-PC-latexの血液適合性: 血液適合性の向上のために、ポリエチレングリコール(PEG)をバルーン表面に導入し、PEGの分子量(2k, 5k, 10k g/mol)と担持可能な薬剤量の関係について詳細な検討を行った。分子量と担持可能な薬剤との相関関係は弱いものの、放出効率に関しては分子量が低いほど優れていることが確認された。さらに、PEGを導入したCy5-PC-latexと血液を混合し、任意の時間における血小板凝固性についての評価を行い、本プラットフォームの血液適合性についても確認した。(iii)in vivo実験に向けた実験条件/測定環境: 生体環境における機能性評価としてin vivo蛍光イメージングシステムを用いる予定であり、光源や実験条件の精査等、プレリミナリーな検討を行った。
|