生分解性ポリマーをベースとしたASO内包ミセルの調製のため、親水性の保護層であるポリエチレングリコール(PEG)セグメント、温度応答性セグメントとして生分解性のあるポリアミノ酸由来のポリマー、ポリカチオン性ポリアミノ酸を有する三元系ブロック共重合体の合成の検討を進めている。昨年度は、生理的条件下において、31度の温度で疎水化転移するポリマーを開発した。この温度は、ポリイソプロピルアクリルアミドの下限臨界溶液温度と近く、生体材料としての利用が期待できる。 本年度は、ASO内包ミセルの調製のため、三元系ブロック共重合体の合成を検討した。しかし、温度応答性セグメントのみの合成として用いている合成手法では、三元系ブロック共重合体の合成において当該セグメントが一部分解していることが判明した。そのため、ブロック共重合体として合成するための条件検討を行った。その結果、分解を防ぐ反応条件の開発に成功した。そこで、三元系ブロック共重合体の合成を行った。サイズ排除クロマトグラフィーにより、ポリカチオン性ポリアミノ酸セグメントの合成の際に不純物の混入が確認されたが、PEG-温度応答性セグメント二元系高分子よりも高分子量側に存在するピークを有する三元系ブロック共重合体の合成を確認している。精製面や反応条件の検討に改善の余地があるが、設計通りの高分子の合成に成功している。加えて、この生分解性のあるポリアミノ酸に関する特許出願を行っており、核酸送達のみならず幅広い応用の検討している。
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