研究実績の概要 |
メチオニン-コリン欠乏餌で飼育した病態モデルマウスを作成し、その再現性の評価を血液生化学所見、腹部CT検査、病理組織学的所見で確認し、モデルマウスの病態進行が経時的に安定して進行していることを確認した。確立されたモデルマウスと通常餌で飼育したマウスのレドックス状態を比較するため、経静脈的に投与したニトロキシルラジカルが対象臓器である肝臓で代謝される速度をDNP-MRIで測定、算出し定量的に評価した。NASHの炎症と繊維化に関する病態進行との相関性を確認するため、実際の病理組織像(HE染色、Masson trichrome染色、sudan III染色),酸化ストレスを反映する免疫染色(8OHdG, 4HNE)、血液生化学検査(GOT, GPT)などを測定した。その結果、病態進行に伴いニトロキシルラジカルの代謝速度に変化が生じることが確認された。NASH肝臓におけるレドックス状態の変化についてはミトコンドリアの関連性を示す報告がされていることより、ニトロキシルラジカルの代謝がミトコンドリアの機能異常により代謝速度に変化が生じているとの仮説を立てた。次年度より、病態モデルマウスより抽出したミトコンドリアを用いて、x-band EPRでニトロキシルラジカルと直接反応によりラジカル消失速度に変化が生じるかどうかの行う実験の計画をしており、現在、安定したミトコンドリアの抽出を行うよう条件検討を行なっている。
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