研究課題/領域番号 |
18K18405
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
三浦 智 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (70724566)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 医用システム |
研究実績の概要 |
これまで申請者は、手術支援ロボット操作者の脳活動を計測し、医師の知覚するhand-eye coordinationを評価してきた。これまでの研究成果から、ロボットが直感的に操作可能であるほど特定の脳活動が強く活性化することがわかっている。よって、脳活動が最も活性化するロボットの構造の導出が望ましいが、脳活動に限らず、人間の生体情報には試行毎・人毎に応じてバラツキが生じるため、ロボットの設計案(最適解)が定まりにくい。従来研究でも医師のモーションや視線などを計測しモデル化されているが、人間のバラツキに対応した実用的なロボットを必ずしも開発できていない。人間の生体情報における試行毎・人毎のバラツキに応じた設計手法が必要であるという核心的な問題がある。 バラツキに対応する設計手法として信頼性設計がある。信頼性設計とは構造物設計などによく用いられ、例えば耐久年数などのバラツキに対し、確率的に最も故障しにくい最適解を導出する手法である。本研究の目的は、信頼性設計理論を用いて、操作者の生体情報から確率的に最も操作しやすいロボットの構造の導出である。最適化する因子(設計変数)はマニピュレータの長さや各関節の剛性・減衰である。(A)生体情報の確率分布モデルの取得、で因子毎のバラツキをモデル化し、(B)生体情報とロボットの構造の相関・応答曲面構築、で各因子の確率分布モデルを統合することで、(C)生体情報によるロボットの構造の多目的最適化、を実施する。
2019年度は、手術支援ロボットシミュレーションシステムを用いて、手術成績をおよび人間の生体情報を取得した。複数名の被験者により確率分布を明らかにし、応答曲面法を用いて、各因子の寄与度を明確化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は、得られたデータを解析し、それらのバラツキの確率分布を求める予定であったが、それに留まらず、手術支援ロボットにおける各因子の寄与度の明確化まで実施したため。
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今後の研究の推進方策 |
得られた確率分布を用いて、満足化設計を行い、作業成績と生体情報とのバランスをとった最適解を明らかにする。その後、最適解を用いて検証実験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
財団からの助成金による支援があり、そちらにより当研究テーマの実施が可能であったため。一方で、次年度の研究を支援する資金は助成金等はないため、当科研費を充てる予定である。
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