研究実績の概要 |
2019年度は初年度に購入した高性能GPU・ワークステーションを利用しTensorFlow (Google, Mountain View, CA, US)、Chainer (Preferred Networks inc. Tokyo, Japan) といった既存のフレームワークを用いてネットワークの設計と学習プログラムを作成した。初年度に行っていたディープラーニングの手法を用い音声障害を聴覚的印象から4段階に分類するGRBAS尺度を人工知能(AI)により判定する研究については評価・診断支援プログラムを作成し妥当性についても検討した論文をJournal of voiceに投稿しアクセプトされた。さらに実臨床で簡単に診断に利用できることを目指し、GRBAS尺度をAIにより判定するiPhoneアプリを公開した。このアプリについての詳細も論文として投稿中である。AIを用いた研究成果をスマートデバイスで使用可能とすることは実際に臨床でAIによる音声障害の評価・診断支援を手軽に活かしていくための下準備となると考えている。特徴的な音声障害(声帯麻痺・声門上狭窄・痙攣性発声障害など)については初年度に引き続きネットワークの設計と学習プログラム作成をすすめている。 音声および診療データの集約をするために録音音声・録音法の統一を行ない、実際にいくつかの研究機関でのデータの蓄積を開始した。各協力研究機関(京都大学医学部附属病院、神戸中央市民病院、倉敷中央病院等の10施設程度予定)において今後データが増えることでより高性能な学習済みネットワークを作成することが可能となることが期待できる。
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