研究実績の概要 |
令和2年度までに、脳および体幹部を模したファントムを用いて探索した最適化された画像再構成アルゴリズム・減弱/散乱補正法・ピクセルサイズ・逐次近似再構成法の繰り返し計算回数・平滑化フィルタなどの画像再構成条件が患者を対象とした臨床画像に適用できるか検討を行った。一部の成果については、論文化し公表済みである。令和3年度では、本研究の目的である低コントラスト状態となることが散見される心臓サルコイドーシスに対する18F-FDG PET検査症例20例のデータを集積した。令和4年度には、集積した20例に対して、バックグラウンド領域をリファレンスとしたコントラスト分解能などの各種画像解析を行った。 また、本研究のもう一つの目的である被ばく線量低減に関する部分に関しては、小児てんかん焦点検索目的の脳18F-FDG PETを対象に評価した。令和3年度までに脳を模した人体模型ファントムによる検討および患者データを用いた予備的検討は終了しており、デジタル半導体素子を搭載したPET装置では18F-FDGの投与量は50%程度まで減じることが可能であることを見出した。患者データに関しては、令和3年度終了時点において当初の目標数分の症例数を取得できたため、令和4年度は核医学医師による視覚評価および物理解析を進めた。投与量の減少は、リストモードデータにおける収集時間を減少することでシミュレートした。収集時間600秒を基準として、1/2, 1/3, 1/4, 1/5, 1/10時間の画像を準備し、画質、明瞭度および診断の確信度を4段階評価した。また、同画像に対して収集時間600秒を基準としたSSIMなどの物理評価も行った。現在は、視覚評価および物理評価の結果をまとめているところである。
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