研究実績の概要 |
網膜疾患を有する患者に視機能評価系マイクロペリメトリーMP3視野計(ニデック社)を用い網膜感度を測定し、光干渉断層計(OCT)や眼底自発蛍光(FAF)などの網膜画像所見を重ね合わせることで、網膜構造と網膜機能(網膜感度)の関係をより精密に解析できることを目的としている。またMP3視野計が、従来視機能評価方法として用いられてきた静止視力や視野計とは別に、新しい視機能評価系のパラメーターとして確立できることを目的としている。 網膜静脈分枝閉塞症により黄斑浮腫をきたし抗VEGF治療を行った患者に対し、注射前後で視力検査とMP3視野計の両方で視機能評価を行い、OCTを用いて測定した黄斑部の網膜体積との関連を比較検討した。閉塞部位の網膜体積は矯正視力とは相関しなかったが(p=0.25)、閉塞部位の網膜感度と有意に相関した(p=0.033)。またそれらの症例に対し抗VEGF硝子体注射を行ったところ、注射前後の矯正視力の変化は、閉塞部位の網膜体積や中心窩網膜厚の変化と有意な相関を示さなかったが(p=0.36, 0.52)、閉塞部位の網膜感度の変化はこれら網膜構造の変化と有意な相関を示した(p=0.0047, 0.015)。(Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2020 The usefulness of the retinal sensitivity measurement with a microperimetry for predicting the visual prognosis of branch retinal vein occlusion with macular edema.)
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