網膜疾患を有する患者に視機能評価系マイクロペリメトリーMP3視野計(ニデック社)を用い網膜感度を測定し、光干渉断層計(OCT)や眼底自発蛍光(FAF)などの網膜画像所見を重ね合わせることで、網膜構造と網膜機能(網膜感度)の関係をより精密に解析できることを目的とした。またMP3視野計が、従来視機能評価方法として用いられてきた静止視力や視野計とは別に、新しい視機能評価系のパラメーターとして確立できることを目的とした。 まず中心性漿液性網脈絡膜症(CSC)の患者において、OCTを用いた網膜構造のより詳細な研究を行った。OCTを用い視細胞層を外顆粒層と内節・外節層に分け、視機能との関連をみた結果、外顆粒層より内節・外節層がより視機能に影響をおよぼしていることを示した。(Retina. 2019) 次に網膜色素線条症例に対し、MP3視野計を用い黄斑部の網膜感度を測定し、網膜構造との関連を検討した。網膜外層の萎縮が進行するにともない、有意な網膜感度の低下を認め、網膜感度と網膜構造が対応していることを示した。(Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2019)CSCの患者においても、網膜外層の障害に応じた、網膜感度の有意な低下を示した。(Sci Rep. 2019/ Graefes Arch Clin Exp)網膜静脈分枝閉塞症の患者において、閉塞部位の網膜体積と矯正視力に有意な相関は認めなかったが、網膜体積と網膜感度は有意な相関関係を認め、網膜感度が矯正視力より網膜構造を反映していることを示した。(Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2020) またOCT angiographyを用いた研究も進めており、ポリープ状脈絡膜血管症に対するPDTの有効性を評価した。(Int Ophthalmol. 2020)
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