研究課題/領域番号 |
18K18414
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
神谷 貴史 大阪大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (80550764)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 中性脂肪蓄積心筋血管症 / 心筋脂肪酸代謝シンチ / 洗い出し率 |
研究実績の概要 |
中性脂肪蓄積心筋血管症(Triglyceride deposit cardiomyovasculopathy: TGCV)は2008年、我が国の心臓移植症例より見出された新しい疾患単位である。厚労省研究班の報告による剖検心のスクリーニングからは我が国の潜在患者数は4-5万人と推定されており予後不良である。TGCVは長鎖脂肪酸の代謝異常から重度の心不全などを呈する難病である。放射性長鎖脂肪酸であるI-123 BMIPP(123I-β-methyl-P-iodophenyl-pentadecanoic acid)は心筋に摂取された後、一部はミトコンドリア内に入り脂肪酸の代謝経路に取り込まれるが、大半はトリグリセリドプールとして長くとどまるため心筋内に長時間集積し、脂肪酸代謝を反映する画像が得られる。このため、心筋脂肪酸代謝シンチはTGCVの病態の根幹を表現する検査と考えられている。一方、心筋脂肪酸代謝シンチの評価方法は標準化されておらず、最適な収集方法も明らかではない。本研究ではTGCVの診断を目的とした心筋脂肪酸代謝シンチにおいて最適収集方法、評価方法の確立、ならびに異なる装置間での収集方法の標準化を行い、心筋脂肪酸代謝定量的評価法を確立することを目的とする。 平成30年度においては学会参加を通して心筋脂肪酸代謝シンチや洗い出し率の算出方法や精度などに関する情報収集を行った。また、画像評価用ファントムを用いて、当院で臨床使用している収集装置に対しI-123 BMIPP単剤での収集方法や収集条件、コリメータなどの影響に関するファントム実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
画質評価用ファントムの入手を平成30年度半ばまでに行うことができた。ファントム実験に関しても平成30年度中に数回行うことができたため、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年においてはファントム実験データをふまえて、平面像と断層像での洗い出し率の精度に関して検討を行う。また、ファントム実験データから臨床症例での平面像と断層像での洗い出し率の精度評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ファントムの納入が想定よりも早かったこと、実験準備も想定より早く完了したこと、以上2点により今年度のファントム実験の回数が想定より増加した。実験回数の増加に伴う放射性医薬品の購入費を賄うため次年度使用額が生じた。計画としては想定よりも若干早く進んでいるため実験回数を次年度以降調整できると思われる。
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