研究課題/領域番号 |
18K18414
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
神谷 貴史 大阪大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (80550764)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 洗い出し率 / 再現性 / 二核種同時収集 |
研究実績の概要 |
中性脂肪蓄積心筋血管症(Triglyceride deposit cardiomyovasculopathy: TGCV)は2008年、我が国の心臓移植症例より見出された新しい疾患単位である。厚労省研究班の報告による剖検心のスクリーニングからは我が国の潜在患者数は4-5万人と推定されており予後不良である。TGCVは長鎖脂肪酸の代謝異常から重度の心不全などを呈する難病である。放射性長鎖脂肪酸であるI-123 BMIPPを使用した心筋脂肪酸代謝シンチはTGCVの病態の根幹を表現する検査と考えられている。本研究ではTGCVの診断を目的とした心筋脂肪酸代謝シンチにおいて最適収集方法、評価方法の検討、再現性の評価ならびに異なる装置間での収集方法の標準化を行ってきた。その結果,エネルギーウィンドウやピクセルサイズ、コリメータなどの収集条件に依存せず早期像と後期像で同じ条件で収集を行うことが最も重要であることが確認できた.一方、早期像と後期像の収集体位が異なることや心軸や心基部、心尖部などの処理条件が不一致になることなど洗い出し率の誤差が現れ、不一致の程度が大きくなることにより洗い出し率の誤差も大きくなることがわかった。また、I-123心筋脂肪酸代謝シンチとTl-201心筋血流シンチの二核種同時収集に関しては、ガンマ線がコリメータにあたって発生する特性X線による影響のため、各臨床症例において心筋や肝臓などの周辺臓器の集積が異なることから二核種同時収集におけるクロストーク補正を行って洗い出し率を適正化することは難しく、洗い出し率が過大評価されることも認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では単一装置において、臨床を模擬した心臓肝臓ファントムを用いて、TGCVの診断を目的とした心筋脂肪酸代謝シンチのWORの算出に関する最適算出方法の検討を行った。その結果、エネルギーウィンドウやピクセルサイズ、コリメータなどの収集条件に依存せず早期像と後期像で同じ条件で収集を行うことが最も重要であることが確認できた。また、複数装置での収集条件、処理方法の影響を補正する相関式の算出を行った結果、装置の差異や収集条件の影響は少ないことが分かった。一方、早期像と後期像の収集時に体位が変わることにより、心筋と肝臓などの周辺臓器の幾何学的な位置が変わることにより、散乱線や減弱の影響が異なることから、可能な限り撮像体位を合わせることが重要であることがわかった。また、撮像後のSPECT画像の処理に関しても心軸の設定を早期像と後期像で合わせなければ前壁、側壁、下壁、中隔の各領域の設定が不一致になることから洗い出し率に誤差があらわ恵れることが分かった。 I-123 BMIPPとTl-201 TlClの2核種同時収集においては、単一条件下においてはクロストーク補正係数を算出し、洗い出し率を補正することが可能であったが臨床症例おいては、TGCVの重症度と心筋や周辺臓器の洗い出し率が異なることからコリメータから発生する特性X線の寄与率を推定することが難しいこともわかった。
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今後の研究の推進方策 |
上記の検討において、TGCVの正確な診断のために心筋脂肪酸シンチで考慮すべき事項は検討できたと考えているが、本研究のこれまでの検討結果はすべてNaIシンチレータ検出器搭載のSPECT/CT装置での結果である。現在、薬事承認を受けて市販されている最先端の装置はCZT半導体検出器を搭載したSPECT/CT装置であり、今後少しずつではあるが導入施設が増えていくと考えられ、検討が必要となると考えられる。当院ではメーカーの異なる2種類のCZT半導体検出器搭載のSPECT/CT装置が導入されたため、I-123 BMIPP洗い出し率算出に関して、NaIシンチレータ検出器とCZT半導体検出器の違いを検討することが今年度の目的となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により研究計画に遅延が生じているため。
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