研究課題/領域番号 |
18K18422
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研究機関 | 千葉県立保健医療大学 |
研究代表者 |
藤田 佳男 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 准教授 (40584206)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 有効視野 / 自動車運転 / 高齢者 / 脳損傷者 |
研究実績の概要 |
当初計画では、2年間でVFIT-Cの信頼性・妥当性検証を実車評価で行い、さらに訓練効果を測定する予定であった。しかし、高齢運転者が引き起こす事故が社会的な注目をあつめた結果、主な研究対象者のリクルート先であったシルバー人材センターでの実車を用いた研究がほとんど出来なくなった。それゆえ、VFIT-CとVFIT従来版(改良前のソフトウェア)の2つの検査の並存妥当性を20代の研究対象者で検証し、天井効果はあるものの汎用版として活用可能であることを確認した。また、30代での検証でも同様の傾向が認められた。この成果の一部は第83回日本心理学会とTOTA 2019 Annual Meeting and International Conference(台湾)報告した。今年度はさらに年代別の健常者データの取得を計画していたが、Covid-19の影響で実施は断念した。またVFIT-Cは昨年度2施設の臨床現場から使用希望があり、さらに研究協力者を増やせる可能性があったがCovid-19の影響で導入は見送った。なお、従来の成果を含めたVFITや有効視野の啓発は、学術誌「リハビリテーション連携科学」 21巻1号で展望論文「自動車運転支援と多職種連携」、および学術誌「精神科治療学35巻5号にて解説論文「リハビリテーションと運転再開 運転に関する作業療法士の取り組み」として報告した。また、東京都医師会が主催する「高齢社会における運転技能及び運転環境委員会」の委員に就任し、2021年4月に開催された「高齢社会における運転技能・運転環境シンポジウム ~高齢ドライバーが安全に運転を続けていくために~」にて、研究成果の一部を「運転技能へのフレイルの影響」として報告した。この他全国5か所程度で講演を行い同様に研究成果の一部を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の環境下でも有効視野測定(VFIT)その他の実験をリモートで実施できないか検討を行ったが、高齢者に実施することは非常に困難であるため今年度はVFITを用いた実験が行わなかった。また、文部科学省からの事務連絡により、新型コロナウイルス感染症の蔓延の状況で出来る限り学生に臨床実習の機会を確保することや、困難な場合は学内での演習により実習とすることなどの指導があったため、教員全体が教育にかかりきりとなり、研究時間をほとんど確保できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
VFIT検査はその性質上、臨床場面で行う通常の神経心理学的検査と同程度の接触を必要とする。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で現時点では机上実験が容易に再開できる環境ではない。また、高齢運転者に限定免許制度の創設が行われるなど風当たりは強くなっており、実車評価に基づいた妥当性研究は今後も困難と予測される。また、運転免許を返納した対象者がどのような移動手段を用いるのが良いのかも考えてゆく必要がある。そのため、教習所での実車評価による妥当性検証は協力が得られた場合のみ実施することとし、運転断念者の自家用車以外の移動手段の活用に関する研究に着手する。まず、ハンドル型電動車いす(シニアカー、電動四輪車など)に関する実態調査を文献にて行い、可能であればインタビュー調査および質問紙調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は今年度で終了する予定であったが、Covid-19の影響で実験がほとんど行えなかった。最終年度は、この環境下で可能な範囲の実験を行い、インタビュー調査および質問紙調査をおこなうために資金を活用する。また、成果発表の準備の為の支出を行う。
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