研究課題/領域番号 |
18K18426
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 啓壮 東北大学, 医工学研究科, 特任講師 (90513614)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ハプティック刺激 / 運動方向誘導 / 3D VR / 仮想現実 / 高齢者 / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
本年度は3DVR機器による計測の準備のため、3DVR機器と計測用アプリケーションの開発を行った。研究計画にあるように、被験者の利き腕の肩関節前方中央を中心と定義し、肩屈曲0°及び180°、外転0°及び180°、水平内転0°及び150°の関節可動域中をそれぞれ3分割した3次元座標上のポイントにターゲットが出現するように配置した。また、被験者の上肢長の違い、肩関節可動域の違いを正規化するために、計測前に肩峰から第2指先端までの長さを計測し、屈曲、外転運動を実施させて最大関節可動域を計測する仕様とした。また、3次元座標上の計測毎のキャリブレーション作業には、キャリブレーションフレームを製作し、3DVRヘッドセットを装着した状態でキャリブレーションフレームの指定の場所を、第2指先端でポイントして各座標をキャリブレーションした。また、被験者がターゲットを第2指先端でポイントした際に第1指でクリック出来る様に、手関節から第2指DIP関節部、第1指までを固定するようなスプリントを製作して第1指部にボタンを設置した。3DVR装置は、外部に2個の赤外線レーザーエミッタを有し、開発時期時点で一般市販品で最も3次元座標精度の高いと公表されるHTC社製ViVe Proを採用して開発を行った。パイロットスタディとして若年者12名を用いて3次元座標軸状に配置したターゲットを表示し、実際に第2指先端で補足し、クリックするまでの反応時間、実際のX軸、Y軸、Z軸上の座標とのズレを計測した。結果、大きく異なる数値を出した2例を除くと、平均で0.8~1.9mm程度と精度が高い事が判った。大きく異なる数値が出る原因として、ハードウェア上の赤外線の乱反射やスパイク、また、ソフトウェア上の一瞬のフリーズなどによるエラー値による可能性があり、計測の度に確認する必要があることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の計測室は、3次元動作解析装置などが外光の影響を受けるため完全な密室であり、また、被験者が高齢者を含むため、2020年度はCOVID-19により計測室の利用が完全禁止となった。その為、追加の計測が全く出来なかった。感染者数推移を見ながら、計測の再開の機会を伺っていたが、改善が得られないまま、年度が終了してしまった。唯一、他の計測室(窓がある他の目的用の計測室)にて、3DVR機器と開発した計測用のソフトウェアの精度評価とパイロットスタディを若年者で実施し、計測に関する課題や問題点を抽出する時期とした。結果、反応時間計測は問題無く、3次元座標軸上の精度も大きく異なる結果(数値が2桁相違するために判断可能)が出る場合があるが、計測後に再度実施すれば計測値の大きなばらつきが収束するため、計測毎に確認する事とした。また、高齢者特有の視野角の狭窄についても、3DVR機器のゴーグル内で計測が可能とする仕様とした。視野角の狭窄状態を客観的に計測出来るシステムは、高齢者の視覚を伴う計測に於いては重要な情報となり得る。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19による2度の研究延長を申請して来たため、本年度が最終年度となる。その為、今後のCOVID-19の感染状況が予測が難しい現況を鑑み、完全密室な本計測用の計測室の使用を止め、窓のある他目的計測室にて、COVID-19の感染予防対策を徹底して実施する事に変更した。計測機器も床反力計など設置型の物は運搬が不可なので、運搬可能な足圧計測機を使用して身体動揺を計測し、3次元動作解析装置の使用も断念し、3DVR機器の3次元座標軸上での計測とする事とし、COVID-19下での本研究の遂行を図る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19により、計測システム構築のためのパイロット計測のみであったため、本計測用の研究協力者への謝金が発生しなかったため。
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